ロシアとウクライナは日本時間の29日(2022年3月)夕に、久しぶりの対面停戦交渉を再開するが、この交渉を前にゼレンスキー大統領の「中立化」を受け入れるとも受け取れる発言が注目されている。「中立化」の条件はいったい何か?「スッキリ」が分析した。
米国の政策研究機関・戦争研究所は、ウクライナ軍が首都キーウ(キエフ)の東・スムイ州ハルキウ(ハリコフ)周辺の領土を奪還した、と分析する。こうしたなかで、両国の停戦協議をめぐり、トルコのイスタンブールで対面式の協議が行われる。両国が直接会うのは、今月の7日以来、約20日ぶりだ。
中立とは...
この協議を前に、ゼレンスキー大統領は、ロシアの独立系テレビ局やネットメディアなどが参加したインタビューで、ロシアの要求する「中立化」について「議論する用意がある」と発言した。筑波大の東野篤子・准教授は、「中立とは、どこの軍事同盟にも入らない代わりに、自分で自分の身を守ること」だという。
これまでの協議では、ウクライナ側が「即時停戦、ロシア軍の撤退」を要求、ロシア側の「ウクライナの非武装化、NATOなどに加盟しない中立化」の主張とが、対立してきた。ゼレンスキー大統領の発言は、「ウクライナの勝利をどのように思い描いているか」との質問に対し、「犠牲者の数を最大限減らすこと、この戦争が続く期間を短くすることです」。さらに「ロシア側と議論する用意がある」としたなかで、同大統領は(1)第三者による保証と(2)国民投票が必要だ、と主張。ロシアの規制当局は、このインタビューを公開しないよう警告。取材したメディアを調査するとした。
「中立化」発言について、東野准教授は、「NATOへの加盟が、すぐにウクライナに訪れないのは自明で、ウクライナもその目標はあきらめ気味」。ただ、条件として挙げた「安全を保障してくれる」国として、米国、英国、トルコがその候補だという。口約束でなく、それぞれの国の国会で安全保障を批准してくれるよう求めているという。国民投票の実現もハードルは高いとみる。
ロバート・キャンベル氏(日本文学研究者)は、「国民投票をするにしても、国外に避難している400万人を国内に戻して、ロシア軍も撤退するという条件は、いくら損切りしても短期間には、ロシア側は飲みにくい。これはやはり(協議は)長期化するでしょう」
(栄)