ウクライナ侵攻の現場で苦戦しつつ、経済制裁でも追い詰められつつあるロシアの情勢について、「来月下旬にも経済破綻しかねない」との専門家の見方も出始めた。28日(2022年3月)の「スッキリ」が分析した。
モスクワ在住の女性(23)は、「物価は継続的に上がっており、価格が倍増しているものが増えている。いまだに戦争に肯定的な意見を持っている人も、政府に悪いところがあるのではと疑い始めている」。筑波大の中村逸郎教授は、「欧米からの経済制裁は私たちが想像する以上に効いています。経済戦争に関しては、ロシアの大敗北。おそらく4月末に、ロシアは悲劇的な事態に陥ると予測される。ロシアが倒産してしまう」
要人の政権離れも
ウクライナ西部のリビウでは、燃料貯蔵施設が高精度のロシア長距離ミサイルで攻撃された。ポーランドで26日に演説した米国のバイデン大統領は、「プーチンの侵略は、あなた方ロシア国民を世界から遮断し、ロシアを19世紀に戻した」
一方、国営ロシア通信は、東部のマリウポリについて「親露派勢力が1週間で掌握できる」との見方を示した。ロシア国防省は25日、軍事侵攻後初めて外国メディアの参加を認めた会見を開き、「ウクライナへの作戦の第一段階の目標は達成された。ウクライナの軍事力を大幅に低下させた。ドンバスを解放するという主要な目的のために力を集中することを可能にした」。これに対し中村教授は、「ウクライナに侵攻して1カ月以上たっているから、何か成果が欲しい。とりあえず、第一の目標、戦果を手に入れたことを発表せざるを得ない。ロシア軍は、誤算続きで、そこまで追い込まれてしまった」。
経済制裁が物価を押し上げている。ジャガイモが通常の3倍の300ルーブルに、スーパーでも、国内製品のビスケットが82ルーブルから228ルーブルに上がった。
要人の政権離れも広がっている。チュバイス・大統領特別代表が辞任・出国、ナビウリナ・ロシア中央銀行総裁が辞職の意向を示したのに続き、ドボルコビッチ元副首相が政府系財団の代表を辞任した。
追いつめられたプーチン大統領は、どう動くのか?
筑波大の東野篤子・准教授は、「ロシア国民がこの戦争を支持していたかというと、まったくそんなことはない。こんなはずではなかった。政府の情報を信じていた人たちも、自分たちの生活をここまで圧迫しながら戦争をやる意味があるんだろうか」「そこがきちんとプーチン大統領に伝わるかどうか、ということが非常に重要だが。戦争を続ける状況になくても、無理やり続ける、あるいは何かの戦果を得ようとして行動に出てしまうことも」
(栄)