ロシア軍のウクライナ侵攻が激しさ増すなか、ロシア軍の銃撃で左腕を失った少女(9)と、1万キロ余りの遠路を経由して親族のいる成田空港に避難した女性(50)の訴えを、21日(2022年3月)の「スッキリ」が取り上げた。
「母への不安がいっそう大きくなりました」
ウクライナの首都とキエフで逃げる途中に左腕を失ったサーシャちゃん(9)はいまイタリアの病院にいる。「ほら見て。イタリアの女性たちからいただいたプレゼントです。本当にありがとう」。約2週間前にロシア軍の銃撃を受けた。キエフに残っている父のアントンさんは、「彼女はとてもやさしく冷静で気配りのできる子です」。数年前に離婚して、母親に引き取られキエフ近郊で暮らしていた。今月9日に、ロシア軍戦車が庭に入ってきて、建物の地下に逃げようとしたが、その車が撃たれ、運転していた再婚相手の父親が死亡。サーシャちゃんも左腕を失って意識を失って2日間、地下室で生死の間をさまよった。母親は近くの病院へサーシャちゃんを運び込んだが、左腕はすでに壊死、切断した。かけつけた実の父アントンさんに「左腕を失ったから、周りのみんなから好きになってもらえない」と、サーシャちゃんはもらした。その後、イタリアへ避難、リハビリ中だ。「彼女は今欲しがっているピンク色の義手について話してくれます。サーシャは生き残ることができた。サーシャを犠牲者でなく、ヒーローとして見ていただきたいです」。
20日午後10時。羽田空港に、ウクライナからオレナさん(50)が着いた。息子のオレクサンドルさん(29)と7歳と3歳の孫が出迎えた。「ここにいることはもちろんうれしいです。でも、私の母(75)と夫の両親はまだマリウポリにいます」。「母は一人暮らし。最後に話したのは今月2日。昨日は、母の面倒を見ていた隣の家族も避難したので、母への不安がいっそう大きくなりました」
オレナさんはもともと、夫と2人でキエフに暮らしていたが、侵攻が始まった直後の2月25日に同市南部の妹夫婦の元へ。さらに西部のリビウに避難。夫をウクライナに残してポーランドへ出国、トルコのイスタンブール経由で1万1500キロを経て、日本へ避難した。日本には18日現在で、日本に親族などがいる73人のウクライナ人が避難している。2020年末現在で日本にいるウクライナ人は約1800人。ウクライナ周辺国への避難は19日現在で、ポーランドへの約205万人を含め、339万人が国外避難している。
MCの加藤浩次は、「戦争が長期化していくと、周りの国の足並みがそろわなくなってくることが、一番こわいことですね」
(栄)