ロシア軍がウクライナの首都キエフに迫る中、欧米諸国からはゼレンスキー大統領らを国外に脱出させ、亡命政府を樹立するという案が浮上している。亡命政府とは、戦争などで外国に逃れた政府首脳が樹立した政府組織で、国内に残った国民の支援や、海外首脳との交渉などを行うもの。米政府関係者によると、ポーランド内にウクライナ亡命政府を樹立する案を含め、あらゆる非常時対策を検討しているという。一方で亡命政府樹立はロシア軍の勝利を認めることになるため、政府当局者は公式にはこの方針を認めていない。場所についてはポーランドの他、ルーマニアという案も出ているという。
8日(2022年3月)の「モーニングショー」では、亡命政府が樹立された場合を含め、今後の情勢についてスタジオで議論した。
長期ゲリラ戦の予想も
布施哲(テレビ朝日ワシントン支局長)「(亡命政府樹立前に)いくつか段階がある。首都キエフが陥落した場合、ウクライナ西部に避難するのが第一段階。それが難しければいよいよ国外となるが、これは数あるバックアッププランの一つですぐに何か発動するというわけではない」
湯浅剛(上智大学教授)「亡命政府の成功例としてはシャルル・ド・ゴール政権(第2次大戦時・フランス)がある。ゼレンスキー政権が国外に出たとしても、国内各都市に青年や予備兵が残り、長期ゲリラ戦が展開されるだろう」
長期のゲリラ戦としては、1979年の旧ソ連アフガン侵攻がある。3万人規模の旧ソ連地上部隊がアフガン首都カブールに進軍、傀儡政権を樹立したが、アメリカから支援を受けたゲリラ勢力が抵抗。戦費負担がソ連国民生活を圧迫したことで、旧ソ連軍は89年に撤退している。
湯浅剛「ウクライナは、人口規模、経済力、戦闘能力、国民の士気はアフガンを上回る。ロシアがそれだけの領域を統治することは考えられない」
布施哲「ゲリラ部隊を支援する場合、ゼレンスキー大統領の存在が士気を高める。ゼレンスキー大統領は首都キエフにいて、出国については再三の申し出を断っているので説得は難しい。ブリンケン国務長官は『万が一のことが起きた場合は他の閣僚が政権を引き継いでいく』としている」
湯浅剛「国際社会がゼレンスキー大統領をサポートしている。長期的には紛争防止のメカニズムを知恵を出し合って再構築していくことが望ましい。ロシアは勢力圏を拡張するという帝国的発想を捨てないといけない」
菊間千乃(弁護士)「自然災害は避けようがないが、戦争は人間が意識的に起こしているので知恵を出し合って回避できるはず。アフガニスタンと同じようなことを繰り返すことがあってはならない」
玉川徹(テレビ朝日)「長期戦になるとロシアが明らかに不利。短期で決めなければいけないとなったときにプーチン大統領が何をやってくるか心配」
(みっちゃん)