ロシアとウクライナの3回目の停戦協議が、日本時間の8日(2022年3月)未明にかけて約3時間行われ、住民を避難させる「人道回廊」について話し合われた。しかし、ロシアの示す「人道回廊」は過去のシリア内戦などでも、その名称とは異なる「非人道的」なものであったことを、8日の「スッキリ」が伝えた。
「人道回廊」は2回目の停戦協議で合意された。ウクライナ政府は、「民間人」と大きな張り紙をした避難用バスを用意したが、地元軍担当者によると、「戦闘が続いていたので、安全に人を送り出すチャンスなんてなかった」。ロシア軍の攻撃が止まず、2日連続で失敗。
ロバート・キャンベル「国際裁判になった時の口実を作る意味も」
そんな中で、ロシア軍は昨日、一方的に人道回廊を設定した。対象はキエフ、東部のハリコフ、スムイ、南部のマリウポリの4都市で、避難先はほぼロシアやその同盟国のベラルーシだった。これに対し、ウクライナ側は「ロシアはウクライナの民間人を、ロシアに行かせようとしているが、ばかげている。容認できない」とこれを拒否。スムイ市当局は「これはロシアによるニセの情報で、挑発行為である」として、住民に対しバスに乗らないよう注意を促した。
国連によると、ウクライナではこれまでに少なくとも、民間人の死亡が351人、707人がケガをしたとされる。ゼレンスキー大統領は、「武器を持っていない市民への射撃を許さない」。ロシアへの非難を繰り返す。英国のタイムズ紙の報道では、「ここ数日で3度の暗殺の危機を免れた」とされる。ロシアのグループが暗殺に乗り出し、1週間で3度暗殺計画があったという。しかし、ロシアの保安局内には、侵攻に反対する「反戦分子」がおり、計画を妨害した、と報道された。ロシア系独立人権団体によると、少なくとも5133人がデモなどで拘束された。
筑波大の東野篤子・准教授は、「シリアの内戦の時にもロシアは人道回廊を設置したが、人道的に使われたことはほとんどなかった。何べんも作られたけれども、ほとんど人が逃げることはできず、残った人たちは戦闘員とみなしてより激しい攻撃をしていた」。
ロバート・キャンベル氏(日本文学者)「シリアでは20回以上も人道回廊を作ろうとして、オランダなどの外交官が行って作ろうとしたんだけれども、一回も成功したことがなかった。のちのち、人類に対する戦争犯罪を起こしている、と国際裁判になった時の口実を作る意味もあるようだ。ロシア国内への広報作戦の意味もあるようだ」。
MCの加藤浩次は、「われわれは逃げ道作っていますよ。ウクライナ人が避難しなかったら攻撃しますよ。自分の中の勝手なロジックで進んでいるような気がします」
(栄)