ロシアのウクライナ国内の原子力発電所に対する攻撃が激しさを増している。プーチン大統領の焦りと誤算について、7日(2022年3月)のスッキリが分析した。
ロシアは2月24日の侵攻開始直後に北部のチェルノブイリ原発を制圧、3月4日には、南部のザポリージャ原発を攻撃、占拠した。さらに、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が国内第2の規模の南ウクライナ原発に向け進軍しているとの見方を明らかにした。
原発攻撃めぐる主張
ザポリージャ原発は、ヨーロッパ最大規模で、ウクライナ国内の発電供給量の4分の1を占める。同原発の広報担当は、「警告です。ロシア軍がザポリージャ原発に砲撃しています。ヨーロッパ最大の原発で、核の危険が現実のものになっています」。ゼレンスキー大統領は、「ウクライナとヨーロッパの歴史を終わらせる夜になるところだった。ロシアを除いて原発を攻撃した国はほかにありません。史上初めてのテロ国家は原子力テロに走っています」。
ウクライナの非常事態庁によると、5階建ての訓練施設で火災があったがけが人はない。IAEA(国際原子力機関)は「ウクライナ当局から、重要な設備には影響がなく、原発の放射線レベルに変化はない、との報告があった」。ザポリージャ原発攻撃を受けて、国連安保理の緊急会合が開かれ、米国連大使が「プーチン大統領はこの狂気の沙汰を今すぐ止めなくてはならない」。ゼレンスキー大統領との電話会談で、岸田首相は、「今回の攻撃は、決して許されてはならない暴挙であり、福島の事故を経験した我が国として、最も強い言葉で非難する」とした。一方で、ロシアのネベンジャ国連大使は「ロシアが攻撃したというのは、偽情報で事実無根だ」と反論。原発への攻撃はウクライナ側に責任があると主張した。
ウクライナには4カ所の原発があり、計15基の原子炉がある。南ウクライナ原発が占拠された場合、ウクライナ原発全体の60%をロシアに制圧されることになる。
橋本五郎・読売新聞特別編集委員は、「ずっと見てくると、ウソをつく、いろんなこと否定する。だって民間の施設攻撃をしない、って言ったのに、まるでそうじゃない。言ってることとやってることがまるで違う、これを前提にして考えなくてはいけない」。
MCの加藤浩次は、「(病院や学校など)民間施設への攻撃は、ウクライナの誤射だ、と言ってる。考えられないことですよ」「主権国家であるウクライナに侵攻してきている。これを国民が守るのは当たり前のことだ」「9年前に、独立広場に国民が何百万人と集まって、その時の政権を転覆させてロシアに亡命させて、自分たちの力で自分たちの国を守ったという歴史があって、いまここで全面降伏なんて、国民は黙っていないですよ」。
(栄)