ロシアの侵攻とウクライナの防戦。激しい戦闘は領土だけでなく、インターネット上でも繰り広げられている。これは、ウクライナ国防省がSNSに投稿した映像を、けさの1日(2022年3月)、「めざまし8」が紹介したものだ。
画面に映っているのは捕虜となったロシア兵だという。まだ若い男性だ。彼は訴える。「お母さん、ここから連れ出してください」。ここに何をしに来たと聞かれると、「ここは...一般国民を殺している。悪いこと何もしていない人たちを殺している」と」話す。
「捕虜」映像を公開
別の中高年とみられる男性は政府や軍へ向けて「もともと、一般国民は殺さない。避けて通る。それは全部ウソだったぞ。幼稚園も住宅地も攻撃しているじゃないか。子どもたちがいるでしょ。これを見ているなら声を出せ。大きな声をね。プーチンにでも、これ(この動画)見せて」と怒りを滲ませる。
米・CNNによると、捕虜たちの中には「装備が十分与えられていないと訴えているものや、まったく訓練を受けていないもの、19歳の兵士もいた」といっている。
捕虜の映像をSNSで公開する。こうした情報戦略について、軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「これはもう、ロシアに対する心理戦ですよね。やはり、ここに自分の夫であったり、あるいは息子であったり、こういった人たちが映っているということになったら、気が気じゃないですよね。当然ながら、戦争が長引けば彼らが帰還することが長引くし、その親族・家族から戦争やめてくれという色々な声がロシアの中で起こってくる。そういう声を出してもらうのが目的ですね」と指摘する。
他にも、ウクライナの街の店でロシア兵たちが何かを物色している映像もある。ウクライナ国防相省は「ロシア兵による集団略奪の様子を撮影したものだ」と説明している。井上氏は「このことによって、ロシア軍の威信の失墜と国際社会に向けて、なんてけしからん奴だというロシアに対する非難の声がさらに大きくなっていく。その意味でめちゃめちゃ効果的なんですよ」と語る。
一方、ロシア側も情報統制に乗り出している。ロシア通信規制当局はグーグルに対し、ロシア軍やウクライナ市民の被害状況について、誤った情報をすぐに遮断するよう命じたという。
司会の谷原章介「現在はSNSで世界につながっている時代です。この情報戦、軍事的にはどういう意味があるのでしょうか」
井上和彦氏「現代戦の特徴なんです。高度にIT化された社会では個人がすぐにもどこにでも情報がとれる。立場の違いによって、不利になったり、有利になったりの差が大きい。昔の戦いとは大きな違いがありますね」
(一ツ石)