ウクライナ侵攻したロシアに対し、アメリカ、イギリス、EUなどは26日(2022年2月)、ロシアを孤立させるための制裁が必要としてSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの特定の銀行を排除すると発表した。SWIFTとは、世界各国の金融機関が貿易決済などに使うシステムで、排除されると商品を輸出しても代金を受け取ることが困難になるため、経済活動に大きな支障をきたすこととなる。今日28日の「モーニングショー」ではこうした経済制裁の効果について報じた。
フランス財務相がSWIFT排除を「金融の核兵器」と表現するなど、金融制裁としては最後の手段。2018年に制裁を受けたイランでは、原油を中心とした輸出が3分の1となり、GDPもマイナス6%と落ち込んだ。日本も昨日岸田総理がこの取り組みに加わると表明している。
相手国にも影響
一方、SWIFT排除はロシアだけではなく相手国にも影響が出る。第一生命経済研究所の首席エコノミスト永濱利廣さんによると、石油や天然ガスの供給縮小で価格が上昇。さらにロシアは小麦輸出国第1位で、輸出が滞ることでパンや麺など食料品の値段が上がるという。ガソリン、灯油などは1、2週間後から、食料品は半年から1年後に影響が出てくる。
小泉悠(東京大学専任講師・軍事評論家)「SWIFT排除という話は8年前からずっとあるので、ロシアは中露間の取引ではドルを使わないようにするなどこのときのことを考えてきた。今、エネルギー価格が高いので、経済面では強気なところがある」
石原良純(気象予報士・タレント)「ウクライナを守るには時間的タイムラグがある。プーチンは国民の生活は何も考えないので、政権に影響を及ぼすか」
小泉悠「すぐに攻撃を止めることは考えられないが、制裁は中長期的判断に影響を及ぼす。中国に対しても『軍事力を使って現状変更しようとするとこうなる』とメッセージを送ることになる。国民が従ってくれているからプーチンが強いという側面がある。足元の国民生活やエネルギー産業がゆらぐとプーチンもノーダメージではいられない」
山口真由(弁護士)「ロシアは準備している可能性がある。中国にも経済システムができているので、経済を中国圏、アメリカ圏に分けていく可能性もある」
小泉悠「ロシアや中国はドルに依存しないことを中長期的に目指している。ユーラシアが元通貨圏になることも考えられる。経済面でブロック化が進むことは望ましくないが、ロシアに経済面で何のペナルティも与えないというのも安全保障上やりにくい。ジレンマになるが、ロシアがこういう行動をしてしまった以上、我々も返り血を浴びる。しかし、次のロシアの行動、次の中国の行動を抑止しないとさらに困ったことになる」
玉川徹(テレビ朝日)「プーチン政権を勝利させないことが重要。軍事力を使った結果としてロシアが何も痛まないという状況だと、いろんな国が同じことをやる。SWIFT排除は軍事侵攻を止めることまでは至らないと思うが、最終的に戦争やってよかったなとプーチン政権に思わせる状況を作ってはいけない」
(みっちゃん)