ウクライナへのロシア軍の侵攻は、首都キエフをロシア軍が包囲する段階まで進んでいるが、キエフ在住で3日前に結婚したばかりの若妻(21)が、政府から配布された銃を構えながら「ロシアに私たちの平和を奪う権利はない」などと語った。28日(2022年2月)の「スッキリ」が伝えた。
ウクライナ側は27日、「前提条件なしの会談で合意した」と表明、ロシア側も代表団が北隣のベラルーシに到着するなど、停戦協議に向けた動きが具体化した。
「我が国を守るために戻る」人も
キエフ在住のヤリナ・アリエバさん(21)は、ロシアの軍事侵攻が始まった24日に結婚式を挙げた。「夫は既に戦争に参加しています。私はここで夫が無傷で帰ってくるのを祈りながら待っています。ロシアには私たちの平和を奪う権利はありません」。
アリエバさんは市会議員でもあり、今は軍のサポート業務をしている。26日、政府機関が集まるキエフの中心部で語った。「今はシェルターに行かずにここにいます。(手に持っている銃は昨日に)政府から配られました。銃を扱った経験もないが、銃を持っていると安心する」「誰もウクライナを侵攻するとは思えなかったし、想像できなかった。24日に親戚からの連絡で起き、ショックで目を疑いました」。相手のソフトウエアエンジニアのスビャトスラフ・フルシンさん(25)は戦場にいる。
怒りの声は広がっている。東京・渋谷のスクランブル交差点では27日も抗議活動が続けられた。ウクライナ出身のナタリアさん(44)は、「涙でしかない。人々は苦しんでいる。身もウクライナも守りたい」。モスクワ市内などでも24日、「戦争反対」書いたプラカードをもって市民が集まった。しかし、ロシア当局がこれを阻止。ロイター通信によると、少なくとも1400人が拘束された。ロシア出身、日本で活動する小原ブラスさんは、「私たちは肩身が狭くなって、ロシア人を名乗ることすらちょっと後ろめたい」。中庭アレクサンドラさんは、「ロシアとウクライナは昔から深いつながりがある。両国の普通の人は誰も戦争したくない。ロシアが戦争しているのではなく、プーチン大統領が戦争している」。
ロシア軍は25日、首都キエフに入った。キエフ市長は「防衛できる人はみんな我々の軍人を助けよう」。市内は空爆を受けた。ゼレンスキー大統領は「人々が死ぬのを避けるために、話し合いましょう」と、ロシアに停戦を求めた。ロシアもこれに応じる姿勢を見せたが、一方でプーチン大統領は「ウクライナ軍の兵士に訴える。自分たちの手で権力を握れば合意がしやすくなる」と決起を呼びかけた。同国保健相によると、28日現在、子ども14人を含む352人が死亡、1684人がケガをした。ゼレンスキー大統領は、「ウクライナに帰れる人は国を守るため帰国してください。ウクライナ防衛に関わりたいウクライナの友人、武器を渡しますから来てください」と、国外のウクライナ人にも共闘を呼びかけた。ポーランド国境には、ウクライナから避難するために脱出する人と入れ替わりに、ウクライナに向かう人も行列を作った。「ウクライナ人を誇りに思っています。恐れることなく我が国を守るために戻る。ウクライナに栄光あれ」と男性は語った。
(栄)