20日(2022年2月)に閉幕した北京五輪。最終日にはフィギュアスケート・エキジビジョンが行われ、滑走しながらリンクに感謝の口づけをする羽生結弦選手や、白い衣装の羽を天使のように光らせるシェルバコワ選手(女子シングル金・ROC)らが華麗な滑りをみせた。しかし、ドーピング問題が波紋を呼んだワリエワ選手はエキジビジョン不出場。五輪閉幕を待たず、失意のまま18日に帰国した。
帰国便でワリエワ選手の隣にいたというメドベージェワ選手(平昌五輪銀メダリスト)は「よくご飯を食べたり寝ていたりしていた。笑顔は見せていますが、乗り越えるのは難しいと思います」と機内の様子を語った。モスクワのシェレメチェボ空港には100人以上のファンが出迎え、空港のモニタにもワリエワ選手を励ますメッセージが表示されていた。しかし、飛行機を降りたワリエワ選手はファンから差し出された花束は受け取らず、無言のまま空港を後にした。
年齢制限引上げ案も
ワリエワ選手は帰国から中1日でリンクに復帰し、練習風景をSNSに投稿、現役続行の意思を表明している。
一方で、世界から厳しい目を向けられているのがエテリコーチ。女子シングルフリーで、リンクから降りたワリエワ選手を叱責するエテリコーチに対し、IOCのバッハ会長が「冷たくゾッとした。関係者を信用できない」と名指しで痛烈に批判。一方ロシア側はズーリンコーチが「素晴らしい指導者に指摘する権利はない」と反論。エテリコーチも「我々の仕事の評価に、途方に暮れている」と反発している。
ドーピング問題についても、バッハ会長は「選手が独断でドーピングすることはまずありえない。投与した人物こそ有罪」と指摘。今回、ワリエワ選手は16歳未満であることが理由で女子シングル出場が認められたが、バッハ会長は「未成年のアスリートへの配慮を考えていかないといけない。(年齢制限が適切か)検討する必要がある」としている。こうしたことを踏まえ、国際スケート連盟は6月の総会でシニア大会出場の年齢制限を17歳以上に引き上げる案を議題にするという。
石原良純(気象予報士・タレント)「ワリエワは被害者と思っている。ドーピング問題は日本では早川弁護士しかわからないくらいノウハウがない。僕もマラソンやるが、アミノ酸を摂るだけで回復力が全然違って驚いた」
山口真由(弁護士)「年齢制限が17歳に引きあがるという話は良いこと。女子は体が出来上がる前の少女の体が一番跳びやすい。最近のロシア女子は18歳を前に現役引退して、選手の成長をファンが追える状況ではなくなっている。今回、(4回転ジャンプを連発した)トルソワ選手ではなくシェルバコワ選手に軍配があがり、坂本花織選手も成長した姿を見られたが、そこにフィギュアの希望を見た」
玉川徹(テレビ朝日)「今までは肉体的な観点から年齢引き上げが議論されていたが、今回、大人として責任を負わせることが妥当かという新たな問題が出てきた。子どもじゃない(責任を負える)人が競技をすべきだという話に進んで行く。次の五輪でワリエワ選手の活躍を見たいが、ロシアの考え方からすると、19歳では遅いと切り捨てられる可能性もある。そうしたことがあるとしたら許せない」
(みっちゃん)