北京五輪で連覇が期待されていたスピードスケート女子団体パシュートがきのう15日(2022年2月)行われた。日本は決勝でカナダと対戦、僅差でレースをリードしていたが、ゴール直前の最終カーブで最後尾の高木菜那選手がバランスを崩してまさかの転倒。銀メダルという結果になった。
「姉がこのような状況だったので...」
一糸乱れぬ隊列でスタート直後からリードを保っていたものの、最終カーブで何が起こったのか。スタジオに生出演した1998年長野五輪女子500メートル銅メダリストの岡崎朋美氏は「ハイペースのレース展開のなか、菜那選手は先頭になったときにさらにタイムをあげて状態はマックスだった。(その後先頭になった高木美帆選手が)さらにスピードをあげたため、菜那選手はいっぱいいっぱいのなかでついていかなきゃいけないということで、脚には乳酸がパンパンに来ていたはず。ここでバランスをちょっと崩すと、もう立て直しがきかない。なおかつカーブの遠心力に負けてしまって、転んでしまった」と解説。「本人はもう脚の感覚はなかったはず。転んだところから立ち上がってゴールまで、長かったと思いますよ」と声をつまらせた。
遅れてゴールして泣き崩れた菜那選手には、妹の美帆選手が真っ先に歩み寄り、肩を抱いた。美帆選手はインタビューで「姉が一番、話し合う時間を作ったり、積極的に引っ張ってくれたところもあったので...まだ受け止めきれないという気持ちです」と涙をこらえ、「もっと最初の方で何かできたことがあったんじゃないか。後半の戦いになる前にもっとチームにリズムを作ることが出来たんじゃないかという思いがある」と姉をかばった。
菜那選手は「転ばなかったら優勝できたかもしれないタイムだったので、やっぱり悔しいです」「(控えの)押切も含めた4人でこの6年間やってきて、集大成のチームパシュートだったので...みんなで金メダルがとりたかったなって...」と言葉をつないだ。
会場でレースを見た辻岡義堂アナウンサーは、レース後の様子について、「美帆選手は、会場で日本を応援してくれたみなさんのところへ挨拶に行き、カナダ選手に祝福に行き、涙をこらえて気丈に振る舞っていました。メダリスト会見でそのことを聞くと、『姉がこのような状況だったので、妹の私がしっかりしないといけないと思いました』と話していました」とカメラには映らなかった一幕を報告した。
MCの加藤浩次「メダルの色はただの結果だと思います。菜那選手もまだマススタートが残っていますから、頭を切り替えて臨んでほしいですね」
(キャンディ)