整(菅田将暉)の死生観対話が心に残る 「ミステリと言う勿れ」に感じた「奥深さ」

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   フジテレビ系「月9」ドラマの「ミステリと言う勿れ」。第5話(2月8日、2022年)の舞台は、崖から落ちた主人公の久能整(菅田将暉)が入院した病院の一室。(ネタバレあり)

   整は、マルクス・アウレリウスの著書『自省録』を読んでいた同室の牛田悟郎(小日向文世)と、死生観について会話を交わします。「死は自然、という境地にはなかなか達せない」と話す牛田に、「僕は死んだら何もなくなるんだと思う。眠るのと同じ感じで」と返す整。

  • フジテレビの「ミステリと言う勿れ」番組サイトより
    フジテレビの「ミステリと言う勿れ」番組サイトより
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「どうして闘病っていうんだろう」

   自身が元刑事であること明かした牛田は、刑事時代の相棒・霜鳥信次(相島一之)について語り始めます。ただの思い出話かと思いきや、整はそこに隠された真実をあっさりと見抜きました。実は霜鳥が22年前に起こった殺人事件の犯人であること、牛田は証拠をつかんだにも関わらず隠し続けている、ということ」。死を目前にして、刑事として証拠を差し出すべきか、墓場まで持っていくべきか。結局は墓場まで持っていくのかも、と語る牛田と整の会話は、見る者の心にずっしりと残るものでした。

   牛田「情けねえ。刑事として負け、長い闘病生活の末、病気にも負けた」

   整「僕はずっと疑問に思っていました。どうして闘病っていうんだろう。闘うというから勝ち負けがつく。例えば有名人が亡くなったとき、報道ではこう言います。『病には勝てず、病気に負けて、闘病の末力尽きて』。どうして亡くなった人を鞭打つ言葉を無神経に使うんだろう。負けたから死ぬんですか? 勝とうとすれば勝てたのに、負けたから死ぬんですか? そんなことはない、僕はそう言われたくない。勝ち負けがあるとしたら医療ですよ。医療が負けるんですよ。患者本人が、あなたが負けるんじゃない。戦いじゃない、治療なんですから」。

   牛田「あんたは若くて当事者じゃないから、まだ分からんかな。病と戦うぞと思う気持ちも大事なんだよ。その気持ちが必要なときもある」

   整「それでも、病に負けたらか人は死ぬんじゃない。僕はそう思う」

   この第5回は、大きな事件が起こるわけではなく、場面転換もほとんどない、ある意味「地味」な回でした。にもかかわらず2度、3度と繰り返し見たくなるほど引き込まれたのは、2人が演じた「静」と「生」が素晴らしかったから。ただのミステリではない、このドラマの奥深さを実感できた回でした。

   物語の最後には、謎の女性ライカ(門脇麦)が登場。2月14日に放送される第6話では、彼女が波乱を巻き起こしそうで、展開が気になります。

(Hibunny)

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