1965(昭和40)年4月。るい(深津絵里)と大月錠一郎(オダギリジョー)の間に女の子が誕生する。陽向の道を歩いてほしい――。2人は女の子を「ひなた」と名付ける。
錠一郎の影響で、時代劇が大好きな少女に成長したひなたは、2代目桃山剣之介、通称モモケン(尾上菊之助)が大のお気に入りだ。
ひなた(新津ちせ)が小学校4年生になった年の11月、条映太秦映画村が京都・太秦にオープン。さっそく錠一郎と一緒にやってきたひなたは、春にそこでモモケンのサイン会があることを知る。
当たったのは古ぼけたラジオ
サイン会の入場料をねだるひなたに、るいは「4年生にもなっておねだりばかりでは困る」と小言を言う。そして、ひなたがもうすぐお姉ちゃんになることを伝える。るいは第2子を妊娠していて、ひなたにもう少ししっかりしてほしいと願っていたのだ。
赤ちゃんが生まれると知り、ひなたは大喜び。サイン会の入場料を稼ぐために、ジュースの空き瓶拾いを始める。
春休み。空き瓶拾いとお年玉で買った入場券を持ち、ひなたは野田一子(市川実日子)の娘・一恵と同級生の藤井小夜子と共にサイン会に向かう。
モモケンの前で緊張しまくりのひなただったが、色紙にサインをもらい、「大月」の回転焼きもプレゼントでき、大満足だ。
その帰り、ひなたたちは外国人の少年と出会う。英語で話しかけてくる少年におどおどするひなたの横で、小夜子がスラスラと答える。
「英会話教室に通いたい」。そう言い出したひなたにるいは戸惑う。月謝を払う余裕は大月家にはなかった。
そこで錠一郎がアイディアを出す。商店街の福引で1等賞の熱海旅行を当て、それをお金に換えようと言うのだ。
しかし、当たったのは古ぼけたラジオ。電源を入れると、音楽が流れだした。『証城寺の狸囃子』だった。るいの中で母との思い出がよみがえる。