これまで、新型コロナの診断はPCR検査や抗原検査によって判断が行われてきた。しかし、1月24日(2022年)夜、後藤厚生大臣は、自治体の判断で「(新型コロナ)感染者の濃厚接触者が有症状となった場合、医師の判断をもって(新型コロナと)診断することも可能」という新方針を示した。
背景には、感染急拡大による検査キット不足や検査の遅れ、発熱外来のひっ迫などがあるが、果たして新方針で混乱は起きないのか。「スッキリ」では現場の医師に話を聞いた。
検査キット使用を減らす効果も
多摩ファミリークリニックの大橋博樹院長は「日に日に陽性率が上がっていて、電話が鳴り止まない状態です。検査のキットが足りないとか、人海戦術で超えられないものがでてきています」とクリニックの現状を語る。検査なしで陽性判断が行える新方針だが、大橋院長は「家族内感染や濃厚接触者には十分活用できるんじゃないかと思っています」と語る。
新方針のメリットだが、大橋院長は「私たちのクリニックでも、親子3-4人で同時に受診される方が増えています。代表者の方が陽性だったらみんな陽性だねという運用ができれば、それだけで検査キットが4分の1で済むわけです。赤ちゃんの検査も大変で、鼻の検査をするとすごく泣くので、飛沫が飛んで感染るんじゃないかと心配しながら診察しています」と語る。
しかし、その一方で「検査をしなくてもいいとなった場合、軽症者の扱いをどうするか」などの課題もあるという。「熱が出ていなくて、のどがイガイガする程度だけれど、キットで調べてみると陽性者がいる。その方々を拾い上げることができるのか」(大橋院長)
司会の加藤浩次「これまでは子どもをみんな連れて行かなければいけなかったが、毎回みんなが検査キットを使わなくても良くなる」
水野泰孝(日本感染症学会指導医)「検査をやるほうからすると負担軽減になると思う。家族の中でどなたか一人陽性になったばあい、診断ができていいと思う。一方で全く無症状の場合、陰性と判断するのか陽性と判断するのか。家庭内だったら可能性が高いが、仕事の場合は判断は難しい。最終的には医師が判断するが、濃厚接触者かどうかの判断がポイントになると思う」
森圭介アナウンサー「軽症で重症化リスクが低い人は、医療機関に行かずに自分で抗原検査などを行い、陽性の場合は健康フォローアップセンターに連絡するということができます」
水野泰孝医師「検査キットを買い占めたり、症状のない方でもやるというのはやめてほしい」
前田裕二(実業家)「(検査なしで陽性判断がされるようになった場合)感染者数とどう向き合っていけばいいか」
水野泰孝医師「検査をしないで診断するというのは医師の能力による。数字はぶれてくると思う。インフルエンザの場合は全部が届け出を出すわけではないが、(新型コロナも)今後はそういう方向に行くのでは」
前田裕二「陽性判断のハードルが下がると、『陽性』と判断されるのがこわくて診断に行かない人が出るのではないか」
(みっちゃん)