新型コロナのオミクロン株への効果的な対策について、きのう20日(2022年1月)、専門家の有志22人が政府への提言案をまとめた。21日の「モーニングショー」は、この提言をまとめたメンバーの1人である政府分科会の小林慶一郎・慶応大教授を招き、話を聞いた。
提言案は「この2週間前後でピークが到来する可能性がある」として、効果的な対策として「人流抑制ではなく、人数制限によって、医療逼迫や社会機能不全に陥らない程度に感染者数を抑制すること」をあげている。具体的な対策としては「ワクチン追加接種および未接種者へのワクチン接種の促進」などを提言し、都道府県をまたぐ移動については「移動自体は感染リスクが低いことから制限する必要はない」としている。
「社会経済に与えるコストと比較して...」
小林教授は「感染者数そのものを大きく下げることは、社会経済に与えるコストと比較して、今までのやり方でやると無理がある。私個人としては、医療は逼迫はするけど耐えられるのではないかと期待しています」と提言案をまとめた背景を説明した。
これに対し、リモートで出演していた玉川徹(テレビ朝日社員)がかみついた。
玉川「すでにいろいろなところで医療の逼迫は起きている。今回の対策は、『感染の容認はできない』と言いながら、感染力がオミクロンより弱かったころよりも緩い対策になっている。『(医療現場は)ギリギリもつんじゃないか』とおっしゃったけど、もたなかったときはどうするんですか」
小林教授「第5波までの状況を考えると、人流制限のような強い措置そのものには大きな効果はなく、むしろ人々が自発的に行動を変えてくれたときに効果が出る」
玉川「人流と人数は無関係ではない。尾身(茂・分科会)会長は『ステイホームなんて必要ない』と言ったが、『なんて』というのはステイホームを唾棄するような口ぶり。企業や学校が一生懸命リモートワークやオンライン授業をやっていることも必要ないということですか」
小林「みんなが家から出なければ感染は収まるが、経済を止めることによって生活に困窮して亡くなる人が出る。その人数の方が患者の人数より多くなるということがありうるので、経済の止め方を考えましょうというのが今回の提言です」
玉川がさらに「むしろ今回の尾身会長の発言や提言は、『オミクロンは大したことないじゃないか』という方向に(人々の)心理を向かわせて感染を広げる形になっていませんか」と質問すると、小林教授が答えに詰まり、羽鳥が「大したことないから好き勝手やっていいというメッセージではありませんよね」と助け船を出す場面もあった。
提言案の中で「若年層は検査をせず、臨床症状のみで診断を検討する」と提案していることについて、小林教授は「重症化するリスクが低い人たちは、1つの選択肢として、わざわざ病院に行かずに自宅で療養することで、保健所や医療機関の負担が減るのではという議論があった」と説明したが、国際医療福祉大の松本哲哉・主任教授は「臨床症状だけで診断するのは無理。検査をしなければコロナかどうかは判断できない」と反発していた。
予定出演時間を延長して「口撃」を受け続けた小林教授、さすがに疲れたのか、最後に玉川が「経済を動かして生活困窮者を守る以外に、国が所得などの補償をするという方法は考えないんですか」と聞くと、「急に病床を増やせないのと同じで、自殺しそうな人を発見して財政的な支援をするというのも急にはできない。だから経済を止めるか止めないかという選択をせざるを得ない」とやや苦しい論理を展開していた。
(キャンディ)