62年ぶり快挙の映画「ドライブ・マイ・カー」 ココがすごい!「スッキリ」が魅力深掘り

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   アカデミー賞の前哨戦とも位置付けられているゴールデングローブ賞。日本時間10日(2022年1月)に第79回受賞作が発表されたが、濱口竜介監督(43)の映画「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞を受賞した。村上春樹さんの短編小説が原作で、俳優で演出家の家福悠介(演・西島秀俊)が、専属ドライバー女性との出会いを通じて亡き妻の過去と向き合う物語だが、日本映画の同賞受賞は市川崑監督の「鍵」以来62年ぶりの快挙。11日の「スッキリ」では映画ライターのよしひろまさみちさんをスタジオに呼んで、この作品の凄さを詳しく報じた。

   監督は東京藝術大学大学院出身でハッピーアワーで数々の映画賞を受賞した濱口竜介さん。濱口監督は、感情を入れずに本読みをしてもらい、感情を出すのは撮影の時だけなど、独特のこだわりをもった方法で撮影を行なっているが、その理由について濱口監督は「(台本を)一読してこんな感じかなって感情はある。それをそのまま演技の場に持ってきてしまうと、自分の想定を再現するものになりがち。現場でまっさらな気持ちで相手役と向き合ってもらう」とその理由を語っている。

  • 番組ツイッターより
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どうなるアカデミー賞

   「ドライブ・マイ・カー」の凄さについて、よしひろさんは3つのポイントを挙げている。

   1つ目は、40ページ程度の小説を2時間59分という長編に仕上げたこと。

   よしひろまさみち「贅肉がついていない。すべてがマッスル。濱口監督は自分がストーリーテリングするのがうまく、自分の作品として消化している」

   ロバート・キャンベル(日本文学研究者)「(短編集に収録されている)他の短編からもうまくモチーフを取り出して入れている。『雨月物語』という溝口健二の映画があるが、あの作品も他の短編から要素を取り入れている。原作に忠実であるが、変えているところもある。映画にするときにうまい技法」

   2つ目は、見たことがないロードムービーであること。通常のロードムービーは行った場所で何かが起きて物語が転がるが、この作品ではたいしたことが起きず、主人公はほとんどしゃべらない。

   よしひろまさみち「どこで進行するかというと車の中。すべてが移動中の話なんです」

   司会の加藤浩次「新しいロードムービーの形を作ったということですか」

   3つ目は芸術と娯楽の融合。ぱっと見アートっぽいんですが、中身はどエンタメな作品となっている。

   よしひろまさみち「娯楽映画として完成度が高かった。エンタメじゃなかったら2時間59分もちません。これこそが映画がやらなきゃいけないことです」

   高橋真麻(フリーアナウンサー)「独特の世界観の映画かと思った」

   よしひろまさみち「間口がエンタメなので入って来やすい。その上で溝口、小津など昔の日本映画の良さを感じ取ってくれる映画ファンが世界中にいらっしゃる。それゆえに評価が高い」

   前田裕二(実業家)「短く飲み込みやすいものが求められるようになっているネットのコンテンツと真逆。その瞬間はわからせず、後でわからせるという回収の仕方がある。流動食みたいなコンテンツから深く噛んで味わうコンテンツへと揺り戻しみたいなものが来てるのかな」

   加藤浩次「今後はアカデミーという話になるでしょうか」

   よしひろまさみち「確実に取れるのは国際長編映画賞。入ってほしいのは作品賞と監督賞。願わくば主演男優賞と編集賞も。ノミネートだけでもいい」

(みっちゃん)

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