コロナ禍2年目となった2021年。ワイドショーもコロナの話題を多く取り上げ、今なお「オミクロン株」に警戒が続いている。
振り返れば、東京などで緊急事態宣言が発令されたのは年明けすぐの1月8日だった。前年末からの第3波、さらに第4波(4月~6月)、第5波(7月~9月頃)と続き、私たちは年がら年中、自粛の中で暮らしてきたのだと改めて思う。
MVP受賞、その時ワイドショーは...
動きが止まった列島で、人々の意識は沈み、活力を失ったかにみえた。そんな中でもワイドショーは、テレワークや地方移住など新しい生活や仕事に挑む人々の話題も取り上げた。元に戻るのではなく、新たな時代に入ったのだ、と気付かされた1年でもあった。
夏の明るい話題となるはずだった東京五輪。緊急事態中の無観客開催、森喜朗・元組織委会長や開会式演出チームの辞任劇もあり、お祭りムードはしぼんだ。対照的に、選手たちは輝いた。ワイドショーが見せてくれた、白血病から復活した池江璃花子選手はじめ選手たちの物語に、「自分たちも頑張ろう」と閉塞感から抜けだすエネルギーをもらった人も多いだろう。
秋の自民党総裁選と総選挙の結果はしかし、「変化」への振れ幅が少なかった。人々はまだ変わるのではなく、静かに嵐の過ぎ去るのを待っているようだ。
どんよりとした空気感が続く中で、視聴者の話題をさらったのは、米大リーグの大谷翔平選手の一挙手一投足だった。どの局のワイドショーも毎朝のように「今日の大谷は...」と速報した。
(J-CAST)テレビウォッチ・ワイドショー通信簿で振り返ると、大谷選手が米大リーグMVPに決まった11月19日は、どの局も歓喜に沸いた。「大谷MVP? 長嶋一茂『満票でなかったら嫌味言っただろう』」(19日、テレビ朝日系「モーニングショー」)は、米国の発表テレビ放送を生中継した様子を伝えた。
「大谷で大はしゃぎ『スッキリ』の中、ひと味違う河瀨直美のコメント(略)」(19日、日テレ系「スッキリ」)では、映画監督の河瀨直美さんが「コロナで世界が苦しい中、人々が歩みだすきっかけになる」とコメント。日々努力を重ねるだけでなく、人としての立ち居振る舞いも重要だと、彼の人格にも触れて称えたのだった。
暗い空の下で、だれもが「希望」をみた瞬間だった。
(コムギ)