23日(2021年12月)にさいたまスーパーアリーナで、北京五輪の出場権をかけた全日本フィギュア選手権が開幕した。初日の23日は女子のショートプログラムが行われた。2位から5位までが1点差にひしめく大混戦を自己最高点で制したのは坂本花織。2位に樋口新葉、3位に入ったのは現役高校生の『新星』 河辺愛菜だった。
多くの観客がこの大熱戦を見守ったが、観客たちの「お目当て」は他にもある。足のケガでグランプリシリーズを欠場した羽生結弦が8カ月ぶりにリンクに戻り、この日の公式練習で、前人未到の最高難度「4回転アクセル」に挑戦するからだ。4月に行われた国別対抗戦の公式練習でも羽生は4回転アクセルを試みたが、16回チャレンジして1度も着氷できなかった。
「めざまし8」で解説
13時過ぎに羽生の公式練習が始まると、羽生は4回転アクセルを試みた。着氷こそ乱れたが転倒を回避すると、客席からは大きな拍手。練習終了5分前に2度目のチャレンジ、あと1分というアナウンスの後に3度目のチャレンジを行い、いずれも成功させた。
今大会での4回転アクセル挑戦を明言している羽生は「今日は軸を作ることを試した。自分の中では回転を10割でかけている状態ではなかった」と話し、「4回転アクセルは僕だけのジャンプではない。まっとうするのが僕の使命だと考えている」と決意を語った。
大阪・豊中市の服部天神宮には、羽生の4回転アクセルの成功を祈願する絵馬が1000枚以上並んでいる。実はこの服部天神宮は、菅原道真が大宰府への旅路で痛めた足をいやす祈願を行ったことから「足の神様」が祭られていることで有名な神社。取材した日も、絵馬に羽生の活躍を祈願する女性ファンの姿があった。
24日の「めざまし8」スタジオゲストのソチ五輪代表・村上佳菜子は「日本人は左回りで回転する選手が多い」と言いながら、4回転アクセルが実際は4回転半になる仕組みを実演しながら解説し、「前向きで踏み切り、後ろ向きで着氷するアクセルジャンプが苦手な選手もいるが、羽生選手はトリプルアクセルが得意。現役時代に羽生選手にジャンプのコツを聞いたら『シュッて跳べばいいんだよ』と言われたことがあります。羽生選手の4回転アクセルは今、形はできているので、あとはシュッといけるかどうかです」とコメントした。
4回転アクセルの基礎点は12.50。4回転ルッツ(11.50点)より1点しか加点できない。
村上は「点数が重要なのではなく、誰も挑戦していないジャンプを成功させたいという羽生選手の思いが強い」と話した。
元衆議院議員の金子恵美は「常に高みを目指す羽生の姿には感服する」と話す。
フジテレビ解説委員の風間晋は「羽生のスケート人生をトップに導いたのがアクセルジャンプ。4回転アクセルを本番で成功させたいというのが、彼の最大のモチベーションなのだろう」とコメント。
ミュージシャンの山村隆太は「会見で『僕だけのジャンプではない』と話していたが、応援してくれているファンと一緒に見る夢ということだろう」と述べた。
お笑いタレントのカズレーザーは最後に「ぜひ『シュッ』とやってほしいですね」と期待を込めて話していた。
羽生が4回転アクセルにチャレンジするとみられるのは12月26日の男子フリー。歴史的チャレンジは成功するか、注目される。
(バルバス)