12月22日、大阪府で新型コロナウイルスのオミクロン株感染者が初めて確認された。感染経路は不明で、国内初の市中感染となった。感染した男性は30代で寝屋川市の公立小学校の教師で、その妻と未就学児の子供も感染していた。この男性は5人家族で、残りの2人の子供も新型コロナ陽性で、オミクロン株に感染しているかを現在、分析中だという。
岸田文雄首相は同日、水際対策の強化を訴え、厚生労働省アドバイザリーボードの脇田隆字座長は「ワクチン効果が減弱化している可能性がある」と話している。
大阪府によると、この小学校教員は12月18日に発熱、20日に新型コロナ陽性と診断されたが、16日と17日に学校に出勤している。現在、同小学校は休校中で、教職員・児童全員のPC検査を実施したという。この検査の結果、同僚の男性教員が新型コロナ陽性で、オミクロン株に感染しているか分析中だという。陽性の教職員と接触のあった児童は、結果が陰性でも14日間の自宅待機、それ以外の全児童は結果がわかるまで自宅待機する。
昭和大・二木客員教授「あっという間に膨大な数になる」
大阪府の吉村洋文知事は「解除したいという思いはあるが、飲食店への制限要請を継続する」と発表した。
岸田首相は、濃厚接触者に対しては自宅待機ではなく、宿泊施設で14日間待機を要請し「先手先手で対策を打っていく」として、25日午前0時から米国全土からの入国者に対し、検疫所が指定した宿泊施設での待機を求めることを決定した。またロシア全土も施設待機の対象に加えた。国内のオミクロン株は、12月23日時点で陽性者160人、濃厚接触者は4284人となった。濃厚接触者の数は1日に900人近く増え続けている。
司会の谷原章介は「寝屋川の場合はまだ政府のガイドラインが決まっていないので、独自の判断でやっているということですね。これからオミクロン株への対応も決まってくると思う」とコメント。
昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「当初は感染拡大を少しでも遅らせる対応をしていたのは間違っていない。ただ、すでに濃厚接触者が5000人近くいるので、市中感染がボロボロ出始めたら、あっという間に膨大な数になり、隔離は難しくなる」と指摘。
弁護士の橋下徹は「検疫法を読んでも濃厚接触者を宿泊施設で待機させるとは書かれていない。法律違反になっている。最近は日本が法を無視する国になっている。感染者をすべて入院させ続ければ医療は逼迫してしまう」とコメント。
米国では12月2日にオミクロン株の市中感染が確認されてから18日後に、新型コロナの新規感染者が約1.8倍に増え、英国では12月6日の市中感染が初確認後2週間で約1.7倍に増えた。また、オーストラリアでは12月3日の初確認後18日間で3.2倍に増えている。こうした海外の例から、約20日後に2倍近くになるのではという可能性が見えてきた。
名古屋工業大学の平田晃正教授によると、12月時点で市中感染が始まっていると仮定すると、AI予想では1月8日には1000人超え、2月16日には3684人になる。
古市憲寿「重症化しないなら、普通の風邪になる第一歩か」
オミクロン株については、感染力は厚労省アドバイザリーボードによるとデルタ株の4.2倍、重症化率は米CDC(疾病予防管理センター)によると43人中入院は1人とされている。
二木教授は「感染力はかなり強いとみられる。8~9割がワクチン接種を済ませている国で広がっており、効果は落ちているようだ」と分析し、「普通の風邪だと思ってたら実はオミクロン株だったという可能背はないのか」という視聴者の疑問に、「ありうること。体調が悪い人は医療機関を受診してほしい」と訴えた。
社会学者の古市憲寿は「そもそも冬には風邪がはやる。しょうがないこと。それより、無症状の人をいつから病気扱いにしているのかが気になる。インフルエンザでもそんなことはしていない。感染が拡大していても重症化しないなら、コロナが普通の風邪になる第一歩と考えるべきではないか」と主張。
橋下も古市に同感し、「大切なのはリスク評価だと思う。専門家は"怖い。活動を抑えろ"というが、リスクはどのくらいなのかを示すべき。リスクが低ければ感染容認もありうるし、リスクが高いというならそうじゃない。リスク評価が重要なのに、それがやられていない。ぜひ今後は専門家にリスク評価をしてほしい」と指摘した。
(バルバス)