アニメ「王様ランキング」(フジテレビ「ノイタミナ」枠など)主人公のボッジがとにかく愛くるしいキャラクターだ。漫画というより絵本に近い印象。丁寧な作画はかつての「フランダースの犬」や「あらいぐまラスカル」などの「世界名作劇場」を彷彿させる。かといって、ほのぼの子ども向けかというとそうでもなくて、大人も楽しめる、むしろ、大人だから楽しめる深いストーリーになっている。
王になるために...冒険ファンタジー
主人公はボッス王国の第一王子であるボッジ(声・日向未南)。巨人の両親を持ちながらも生まれつき体が小さく、耳が聞こえず、口もきけず、まともに剣すら振れないほどの非力で、家臣や民衆からは「王の器ではない」と蔑まれている。そんな孤高のボッジがカゲ(声・村瀬歩)という初めての友を得たことで、小さな勇気が芽生え、人生が動き出すという冒険ファンタジー。
物語の構成もよく出来ていて、過酷な環境にあっても、王になるために強くなろうとひたむきに頑張るボッジ。その成長を見守りながら、こちらも温かく優しい気持ちになる。そして、気がつけば毎回泣かされているような......。お互いを信じ、相手を思いやるボッジとカゲの仲良しコンビが微笑ましい。
オープニング曲をKing Gnuが担当するというのに釣られて見たら見事に刺さりました。10月(2021年)スタートで2クール連続。ボッジが無事王様になるまで見届けたい。次回放送は12月24日未明(23日深夜枠)。
原作の十日草輔はなかなかの苦労人のようで、そのあたりのことは『脱サラ41歳のマンガ家再挑戦 王様ランキングがバズるまで』(イースト・プレス刊)というコミックエッセイに詳しい。
(くろうさぎ)