大阪ビル放火、「酒癖が悪い」と疎遠になった兄が語る谷本容疑者の素顔

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   12月17日(2021年)、大阪北新地のビルで24人が死亡する放火殺人事件が発生した。「スッキリ」では犯人とみられる谷本盛雄容疑者(61)の素顔に迫るとともに、ビル火災への対策について専門家に話を聞いた。

   事件発生の30分ほど前、谷本容疑者は現場から1.5キロほど離れた場所の防犯カメラに自転車で荷物を運ぶ姿がとらえられていたが、その荷台には可燃性の液体が入っていたとみられる白い荷物がひものようなもので固定されている。午前10時過ぎに犯行現場となったクリニックに現れた谷本容疑者は、両手に紙袋を持ち、さらに催涙スプレー缶を2本携帯していた。入り口の受付付近で持っていた紙袋を蹴り倒し、流れ出た液体にしゃがみこんでライターで火をつけるような仕草をしている様子が防犯カメラにとらえられている谷本容疑者。その後逃げるそぶりはなくクリニックの中に入っていった。入り口付近ではガソリンの可能性がある可燃性液体が検出されている。谷本容疑者は顔や手足に重い火傷を負い、一酸化炭素中毒で重篤な状況だという。

  • 日本テレビ「スッキリ」番組サイトより
    日本テレビ「スッキリ」番組サイトより
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雑居ビル、スプリンクラー設置義務は11階建て以上

   事件の30分ほど前には、谷本容疑者の自宅周辺でも放火が疑われる火災が発生している。谷本容疑者は以前この家に妻と息子2人と暮らしていたというが、ここには電気やガスは通っておらず、近所の人の多くが空き家だと思っていた。家宅捜索に立ち会った区役所職員によると、室内には2リットルくらいのボトルがあり、ガソリンのような色のついた液体が入っていたという。

   谷本容疑者はどんな人物だったのか。疎遠になっていたという兄は「酒癖が悪い。言葉が荒くなってわめくのは何回か見たことがある」と語る。一方、10年ほど前まで勤務していたという会社社長は「勤務態度は真面目。職人っぽく、むやみやたらにしゃべらない。注意したことに対して納得いかなかったら簡単にキレていた」という。

   事件を防ぐことはできなかったのか。現場はエレベータを出ると受付カウンターがあり、奥に診察室とリワークルームがある。リワークルームは復職支援プログラムを行う部屋で、多い時には15人前後が参加しているという。犯行はリワークプログラムで多くの人が集まるところを狙った可能性もあるとみられている。

   永山政広(防災アドバイザー)「避難経路に火をつけられて選択肢がない。人間の習性として奥に行くしかない。防火規制は爆発的に燃え上がるものは想定していなかった。最近は増えているので何らかの方策を考えていく必要がある」

   森圭介アナウンサー「雑居ビルのスプリンクラーは消防法で11階以上に義務付けられているが、今回のビルは8階建て。6階以上のビルには建築基準法で2箇所以上の非常階段が義務付けられているが、74年施行なので70年のビルは適用外、さらに避難器具やハシゴも今回のビルは設置免除で法的には問題ないということです」

   永山政広「今回は法律を考え直す契機。スプリンクラーは配管工事や水源確保が必要で事実上建て直さないと不可能。何らかの方法で階段の代わりになるものはないか、知恵を絞って安全性を高める必要がある。できないからと思考停止するのは危険。特異な事件だからとあきらめるには犠牲が大きい。たらればになるが今回の場合、奥の診察室の壁が天井まであって火に耐えられれば、一時的に避難できたかもしれない」

   近藤サト(フリーアナウンサー)「ついこの間もこうしたビルを利用したが、非常口は気にしなかった。普段から気をつけていく必要がある」

   今回の事件を受け金子恭之総務大臣は、階段が1箇所で3階以上に診療所や飲食店が入居する全国約3万棟のビルについて、緊急立入検査を行うよう要請している。

(みっちゃん)

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