今(2021)年7―9月の実質GDP成長率(年率換算)が3.0%減少したと、内閣府が11月15日、発表した。16日の「めざまし8」は、予想以上の成長率悪化が私たちの暮らしに及ぼす影響と、今後の見通しを分析した。
民間の日本経済研究センターの予測は「-0.56%」と小幅ダウンだったが、成長率の落ち込みは予想以上だった。それでも、日本のGDP(国内総生産)は、米国、中国に続いてなお3位だ。街の声を聞くと、「うそでしょ。全然(3位の)実感ないですよ。どこでそうなるんですかね?ほかの国の方が購買力あると思いますよ」(60代)。
7―9月期の数字と「半導体不足」
2019年10―12月期を100として、これ以降のコロナ禍での、主要各国のGDPの推移(三菱UFJリサーチ&コンサルティングまとめ)をみると、中国がまず先に20年1―3月で90%に落ち込んだのを底に、回復が早く、現状は110%近くまで戻した。米国、欧州は20年4―6月に90%、85%前後と日本以上に下落したが、今回の7―9月では元の100前後まで持ち直している。日本政府は、年内に「コロナ前の水準までに回復する」との見通しを示しているが、黄信号が灯った格好だ。
明治安田総合研究所フェローチーフエコノミストの小玉祐一氏は、「予想を大きく上回るマイナスだったことは確か。問題は今後、マイナスのトレンドが続くのか」。
なぜ、専門家の予想を大きく下回ったのか?ひとつは「半導体不足」。世界的な半導体不足で、日本の自動車工場では稼働停止や減産が相次いだ。販売店では、客の注文から納車まで、大幅に時間がかかっている。宇都宮市の中古車販売店では、ふだんならぎっしり中古車が詰まっている駐車場に、置かれた車はまばらだ。現在の在庫は半分以下に。中古車ショップ店長は「新車が半年、一年待ちという状況で、中古車、新古車を買いに来るお客様が多くなっている。われわれの仕入れにも苦戦しています」。販売価格も上がっている。 さらに半導体不足は、ゲーム機の「スイッチ在庫ゼロ」状況にも影響する。
街では「緊急事態宣言で仕事も休みだし、収入がない。旅行も食事も全部を我慢した。洋服も買えませんでした」(60代女性)との声が聞こえ、買い控えが広がった。宣言が解除されて年末商戦を控え「リベンジ消費」を期待したいが、消費者からは「まだ抑えている途中ですね」との声が広がる。
小玉氏は「ワクチン配布が遅れたことが一番の原因。半導体不足で自動車、家電が落ち込んだことが大きい」。政府は「GoToトラベル」の来年2月ごろ再開、「GoToイート」の来年GWごろまで実施を検討しているが、コロナ感染の第6波が心配だ。
(栄)