「大正、昭和、平成、令和。4つの時代を波瀾万丈に駆け抜けた99年の人生」と、きょう12日(2021年11月)の「めざまし8」でMCの谷原章介が切り出したのは、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(99)が亡くなったニュースだ。番組では、生前親交のあった歌手の加藤登紀子さんをスタジオに招き、過去の映像とともに約50分間にわたってこのニュースを伝えた。
寂聴さんは21歳で結婚し、翌年長女を出産したが、夫のかつての教え子と不倫関係になり、家を出た。その相手とは破局し、夫とも離婚して1人になった後、出版社で働き出し、やがて小説家として活躍するようになったのだが、加藤登紀子さんによると「娘を連れて行きたかったのよ、育てたかったのよ」と終生話していたという。
井上荒野さん「寂聴さんの言葉が一番うれしかったです」
44歳のころ、妻子のある作家の故井上光晴氏と不倫関係になった。このころ撮影されたモノクロのインタビュー映像で、寂聴さんは「生きていくうえにはご飯を食べることと同じように、(愛は)なくてはならないもの。空気のように」「男女の愛で本当に幸せを得るというのは、惜しみなく愛したという思いじゃないでしょうかね」などと語っていた。
井上氏の娘で直木賞作家の井上荒野さんは、自身の父と寂聴さんと母の三角関係を題材にした長編小説「あちらにいる鬼」を執筆している。執筆に際し、寂聴さんに直接会ったときのことについて、きのう11日、番組の電話取材にこう話していた。
「ずっと父の話をしているわけですよ。本当に嬉しそうに『光晴さんがこんなことを言ったのよ』とか『光晴さんはここの料理が好きだったのよ』と話していて、私はそのときに、寂聴さんはうちの父のことが本当に好きだったんだなと思ったんですね」
「そもそも母が寂聴さんとずっと仲良くしていたので、私たちの前で母が寂聴さんのことで父を怒ったり、悪口を言ったりすることは一度もなかった。私は今まで、寂聴さんが父の恋人だったことで彼女を悪く思ったことは一度もないんですよね」
荒野さんが30代で大腸がんを患った際、寂聴さんに伝えると「がんなんてね、今は誰でもかかる病気なんだから」と声をかけてくれたという。「『大変ね』とか『頑張って』ではなく、そういう言葉ですごく励ましになりました。寂聴さんの言葉が一番うれしかったです」と当時を振り返って話していた。
カズレーザー(お笑いタレント)「批判の多い人生を受け入れて、自己肯定感がめちゃくちゃ高い方だったんだと思います。自分のことを認められて、初めて他人のことも認められるのだと思いました」
谷原「肯定感の強さって、僕らが今、最も持たなければいけないものかもしれませんね」
(キャンディ)