「飛行機利用は恥」論で日本孤立の危機? 環境問題と持続可能燃料の関係

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   「CO2を多く出す飛行機に乗ることは、恥だ」。そんな意味の「Flying Shame」という言葉が、ヨーロッパを中心に広がっている。英国グラスゴーで開催中のCOP26に飛行機に乗って集まった各国首脳にも、若者のデモ隊から浴びせられた批判を、9日(2021年11月)の「めざまし8」が特集した。

   COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催中のグラスゴーに、若者が集結した。スウエーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)が訴えた。「COP26の失敗は明らかだ。リーダーたちが美しいスピーチをし、派手な約束や目標を発表するPRイベントと化している。が、裏では、北半球の国々の政府が抜本的な気候変動対策をとろうとしていない」。

  • 飛行機への眼差しに変化が?(写真はイメージ)
    飛行機への眼差しに変化が?(写真はイメージ)
  • 飛行機への眼差しに変化が?(写真はイメージ)

「めざまし8」で専門家が危機感

   デモの参加者が手にしていたプラカードには、「鉄道は一般人専用じゃない。首脳たちも使えるぞ」。鉄道の約6倍の二酸化炭素を排出するジェット機で来た各国首脳を皮肉る言葉だった。英国の新聞も、ジョンソン首相がロンドンからグラスゴーへジェット機で移動したことを「飛び恥」と非難した。そのジョンソン首相は2日の演説で、「未解決の問題に対処するための新たな取り組みを、多く期待しています。例えば航空問題です。なかなか難しい課題です」。

   CO2排出量が多い自動車は、水素や電気への対策が進むが、航空機の対策は遅れている。IATA(国際航空運送協会)は先月、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロに、との決議をした。いま、注目されているのが「SAF(持続可能な航空燃料、Sustainable Aviation Fuel)」だ。廃食油や木質バイオマスを活用した航空燃料で、CO2排出減に大きく貢献するとされる次世代燃料だ。欧州では、SAF導入に向けた法整備の動きがあり、ノルウェーでは、去年から従来のジェット燃料とSAFの混合を義務化した。

   一方で、日本では、「大きく立ち遅れております」(平子裕志・全日空社長)。その結果、「島国ニッポンが世界から孤立するのでは」との心配が広がっている。現状では、海外から調達するしかない。航空評論家の小林宏之氏は「環境規制が厳しい欧州では、SAFが確保できなかった場合は、便を飛ばすことができない事態も考えうる」。海外からの航空便が減る。航空運賃や輸入品が高騰し、人や貨物の往来ばかりでなく、文化の交流も減少する可能性があるというのだ。

   ANAとJALは先月8日、SAFの共同開発で連携する方針を発表した。ただ、小林氏は「(足りなくなることが)分かっていても先送りしてしまう社会風土が、この問題に限らず、日本にはある。コロナワクチン(の国産化)も立ち遅れた」。さて、間に合うのか。

(栄)

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