東京郊外を走行中の京王線車内で男が刃渡り30センチ前後の刃物で男性を刺し、車内に火をつけた。犯人は「人を殺して、死刑になりたかった」、小田急線での事件を真似たと話している。公共の列車内でどう身を守ればいいのか、1日(2021年11月)の「めざまし8」が伝えた。
10月31日午後8時ごろ、京王線の調布駅を発車した新宿行特急電車の前から3両目にいた、ハロウィンで仮想したような姿の男が、いきなり座っていた70代の男性を刺した。乗客が逃げる5両目まで進んで、ペットボトルの液体をまいて火をつけた。男性は意識不明の重体。番組は、乗客らが撮影した真っ赤な炎を上げる車両から逃げ惑う人たちの姿など13本の映像を入手、事件の様子を再現した。
新幹線、小田急線、そして京王線で
充満する煙、マスク姿で、傘やカバンをもって、手すりにぶつかりながら走る乗客。女性の悲鳴。「もっと前(の車両)行こう」。人々がぶつかり合いながら、別の車両に移動する。隣の車両にいた乗客は、何が起きたかわからず、立ち上がって、後に続いた。急速に流れていた窓の外の夜の風景が、明るいホームに変わって停車。特急は通常停車しない国領駅に緊急停止。ドアは開かない。乗客は窓の上半分を開けて、次々とホームに脱出した。
金色に短髪を染めたメガネの男は逮捕される前、黒っぽいコートにブルーのスーツ、緑色のシャツにネクタイを締め、だれもいなくなった2両目の座席に戻って足を組み、煙草をふかしていた。自称24歳の男は、この直後、殺人未遂の現行犯で逮捕された。「人を殺して死刑になりたかった。2人以上殺せば死刑になると思った」「小田急の事件を参考にした」。約2分間の犯行だった。
同じ車両に乗り合わせ、動画を撮影した男性は、「逃げろ逃げろって感じで、突然みんなが走り出して、状況も分からないまま」「っていう間に、ボンっていう音とともにオレンジ色の炎と黒煙が。とにかく怖かった」。ほかの乗客は「扉から避難して、犯人がいる車両を横目に見ながら、その先の車両が煙で充満しているのが見えた。ガソリンみたいな臭いがした。いつでもこういう事件が起こるんだな。本当に怖いなって思いました」
MCの谷原章介「なぜ、公共の交通機関で、こういう事件が続くのか。新幹線、小田急線と頻発しますが、どういう心理で、電車を選ぶんでしょうか」
テロ対策に詳しい公共政策調査会研究センターの板橋功センター長は、「公共空間はだれでも利用できる。そういうところにつけこんで卑劣な犯罪をする。他人を巻き込むことによって自分の欲求を満たす」。今年の6月に鉄道旅客規制が改正されて、手荷物をチェックできるようになったというが。「列車内は安全ではないという意識を持つことが重要だ」。
(栄)