スタートした衆院選挙の争点を考える「モーニングショー」パネルコーナーは、再生可能エネルギーについて。日本が世界に比べて遅れている現状に、「なぜ進まないのか」と20日(2021年10月)、司会の羽鳥慎一が問いかけた。
日本は2020年度、太陽光や風力、バイオ発電など再生可能エネルギーで電力の20%近くをまかなう。30年度にはこれを36~38%にするのが目標だ。10年前の10%程度から拡大してきてはいるが、たとえばドイツはすでに46%。30年度までに65%をめざすという。デンマークは84%で、目標は100%。中国は20年が29.1%とすでに日本より高く、再生可能エネルギーの発電量が15年連続して世界一だ。
玉川徹「産業の問題としても遅れちゃう」
浜田敬子(元AERA編集長)「なぜ日本が再生可能エネルギー後進国になったか。東日本大震災のときに再エネに舵を切れたはずなのに、原発に執着する政策をやってきた。電力会社と産業界がシフトできなかった。岸田首相も原発にこだわっていて、そこの規制緩和ができない」
玉川徹(テレビ朝日)「世界がそちら(再生可能エネルギー)の方向にむいちゃったのに。環境の問題だけでなく、産業の問題としても遅れちゃう。エネルギーの安全保障の問題でもある。再生可能エネルギーなら、国内で生み出されて国内で還流する」
日本では、再生可能エネルギーの生産コストが高く、太陽光パネルを置く平地が少ないなどの事情はあるが、自然エネルギー財団事務局長の大林ミカさんは「外国に比べてスタートが遅く、技術や制度が成熟していない」と指摘した。
各地の電力会社ごとにエリアを仕切る送電網の整備も課題だ。大林さんは蓄電技術の開発や荒廃農地の活用などを提唱し、「既存の火力や原子力産業をいかに守るかではなく、いかに転換するか」がポイントと強調した。日本では「新たな産業に転換するのが政策なのに」(浜田)既存のシステムや業界を守ることを理由にもたつき通しの現状が浮かぶ。それがときに利権や利害関係をもたらし、「原子力村」などと呼ばれる政財学界のつながりが改革に抵抗し、いっそう現状打開を遠ざける。
玉川「住宅新築で(パネル設置を)義務づけるだけでも違う。そうした住宅を100年使えるようにすれば、良い国になる」
今回の総選挙は、電力を何から作ったらいいかを大まじめに考える機会でもある。
(あっちゃん)