「こちら、ご覧ください。山ではなくて、建設業者が大量に運び入れた建設残土です」と司会の羽鳥慎一がきょう5日(2021年10月)の「モーニングショー」で映像を示す。
「うわー、高い。怖いくらい高いですね」。リポーターの岡安弥生が現場の残土に登り、そう話す。成田空港にほど近い千葉県多古町の田園地帯。残土は高さ30メートル、マンションの10階に相当する。土の量は25メートルプール約160杯分。
法律制定の要望も
かつては田んぼだったが、ダンプカー入るようになり、どんどん埋め立てられていった。巨大化する山に住民たちは「いつ崩れるか、わからないから心配だ」と言っていたが、今年6月、ついに崩落事故が起き、土砂は道路を寸断、夜間まで通行止めになった。目の前の土砂が押し寄せて来た女性は「ぼうぜんとして、こんな崩れるなんて夢にも思わなかった」。今後も崩落の危険があるため、町役場が借りた宿泊施設で生活している。
この建設残土がある土地の所有者は約10人いて、その1人が15年間に太陽光パネルの設置を名目で盛り土を業者に依頼した。業者は「私たちはこの土地の所有者に頼まれてやっているだけです」と話し、土地の所有者は6月の事故の際に町に対し「盛り土を委託した業者にすべて任せています」と言っている。多古町は「残土の搬入業者に崩落の心配がなくなるまで土の撤去作業を指示している」と話す。
住民たちは「早く何とかしてもらいたい」といっているが、盛り土問題に詳しい京都大学防災研究所の釜井敏孝教授に聞くと、「建設残土は資源扱いで、取り締る法律がないため、自治体は独自の条例を制定して対応している。条例の罰則は罰金上限100万円、懲役2年以下となっているが、処理業者は100万円払ってももうけがあるため、抑止力が低い」という。また、多古町の場合、対応職員が4人のみで残土についての監視・指導には限界があるのではという。解決のためには「建設残土を取り締まる法律を早急に作る必要がある」と語る。全国知事会は8月、熱海市の土石流被害を踏まえ、国に法律制定の要望書を提出している。
羽鳥「条例を上回る法というところを考えないといけないと思います。死亡事例が起きると、遅いですからね」
(一ツ石)