「まずこちらをお聞きください」と司会の羽鳥慎一が言うと、画面は深夜の住宅街で大音量の音楽を鳴らしながらノロノロと走行する1台の乗用車の映像に切り替わった。28日(2021年9月)の放送。
羽鳥「これは茨城県つくば市の住宅街で撮影された映像なのですが、こういった迷惑行為が昼夜問わず10年間続いているそうです。近隣の住民が苦しめられています。今回、住民からの依頼をもとに、この車を運転している男性に話を聞きました」
「私が住民の代わりにお伝えします。やめましょう」
近隣住民によると、流れてくる音楽は歌謡曲から洋楽までジャンルを問わない。車が近づくと近隣の犬たちも一斉に吠え出すため、静かな住宅街は一瞬で騒音の嵐に囲まれる。「今日までの3カ月間で108回。眠れない状況が続いています」(住民男性)、「あれをやられると赤ちゃんも起きますし、こちらも寝不足状態でめいっています」(住民女性)。
それでも、住民らはこの男性を「騒音の鬼」と恐れ、反撃に怯えて注意ができないのだという。
現場に向かった取材班が車から50メートルほど離れた地点で測定した「騒音車」の音量は、80デシベル超。これはパチンコ店や飛行機の機内と同じ音量に相当する。
岡安弥生リポーターが走る車を止め、「音量を下げてもらっても良いですか?」と呼びかけると、素直に応じた男性。
岡安リポーター「大きな音を流して走り回っている理由は?」
男性「理由はないよ。暇だから。ちっちゃい時から1人だったから、みんなと外れちゃってたのかな」
岡安リポーター「もしかして寂しくて音楽を鳴らしているのですか?」
男性「そういうことにしようかな」
インタビューの中で、「警察ではなく地元の人が『やめてくれ』と伝えてきたらやめる」と答えた男性。岡安リポーターが「私が住民の代わりにお伝えします。やめましょう」と言うと、「あいよ」と約束し、納得した様子で静かに去って行った。
羽鳥「ご近所トラブルの一種だと思いますが、話を聞いてみると、聞く耳を持たない感じではないし、『1人で寂しかったから』と」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「僕は暴走族を思い出しました。彼らは社会からも学校からも阻害されているというところから、『自分を見てほしい』というアピール行為で暴走するんです。あの男性も、孤立しているのではないか。社会として『どうしたら寂しさからくる迷惑行為や犯罪を解決していけるか』ということをまだ考えていないことが問題です。これは法律でどうこうする問題ではないのでは」
(ピノコ)