<国民は、自宅で見殺しにされようとしている。今も、ひとりで亡くなっている人がいる。涙が出る。怒りと悲しみでいっぱいになる。この国はいつから、こんなことになってしまったのか。命は自分で守るしかないのか>
私が見たのは朝日新聞だが、9月22付(2021年)朝刊に載った出版社「宝島社」の全面広告である。汚れたぬいぐるみが横たわり、その上に太陽らしきものがある。右上に「緊急事態」という印が押してある。宝島が出す「意見広告」にはいつも感心させられる。他のメディア、新聞、テレビにいる人間たちは、この広告に勝る仕事をしているのだろうか。
コロナの感染者が減り続けている。政府は11月頃から普通の生活に戻れるかもしれないと能天気なことをいっているが、信用できない。なぜなら、感染者が減っている理由が誰にもわからないからである。
ワクチン接種はようやく国民の半数である。人流もそれほど減ってはいない。賢いコロナが、何も手を打てない政府を嘲笑うように減ってみせておいて、少し経つと、また猛威を振るい始めるのではないか。総裁選に出ている4人の候補者に聞いてみたい。「あなたはなぜコロナ感染者が減ってきていると思うか」。河野太郎ならこういうだろう、「僕が担当大臣だからだ」と。
父・河野洋平「息子をよろしくお願いします」自民党実力者回りの親バカぶり!息子に個人献金まで
週刊誌を含めて、総裁選は河野が話題の中心である。共同通信が9月17日、18日に行った「新総裁にふさわしい人は」という自民党員調査では、48%超でダントツ1位だった。週刊現代などはいち早く「河野総理、誕生 そのとき日本はこう変わる」とぶち上げ、河野になればこうなるという。
<派閥の論理と長老支配を打ち破って総理総裁に就任する――。「時代が変わった」ことを世に示せば、旧態依然の自民党に見切りをつけていた有権者の支持が戻り、総選挙では圧勝するだろう>
私はこれほどお気楽に河野に期待する気にはなれない。第一、河野は安倍晋三と並ぶ超ボンボンである。祖父に河野一郎元副総理、一郎の弟の謙三は参院議長、父・洋平は元総裁で、母親は伊藤忠商事の創業者の曾孫である。
岸田文雄も祖父と父が衆議院議員だが、格が違う。ピッカピカの世襲議員に派閥をぶっ壊し、長老支配を終焉させることなどできるものか。週刊文春によれば、河野は一族がみな早稲田大学へ行くのに反抗して、慶應大学へ入ったようだが、そこも2か月で中退して、アメリカのジョージタウン大学へ留学したそうだ。彼の反抗心はこの程度でしかない。
同じ文春が、帰国後に富士ゼロックスに就職して、約7年後に衆院選に出たが、この時も、父親が出馬予定の県議を無理やり降ろして、「親子による選挙区の山分け」(文春)をして楽々当選してきたと報じている。
だが、河野は常々「政治に『河野家』を利用しようとは全く考えていません」(『諸君!』2001年5月号)と、世襲政治家であることを否定し続けている。ならばと、文春は河野の政治資金を洗いざらい調べてみると、河野家のカネがザクザク流れ込んでいることが分かったというのである。
河野家の一族企業といわれる「日本端子」(自動車に使う車載用端子などを製造するメーカー。昨年度の売上高は約170億円。河野洋平が初代の代表取締役で、同社の株を3割保有する大株主。河野太郎も2%保有。河野太郎の弟が社長)から、初当選した1996年から2019年まで「お小遣い」として約6700万円ももらっているというのである。
さらに、父親・洋平が政界を引退してからは、「河野太郎事務所」に個人献金もしているそうだ。それだけではない。9月15日には、父親が参議院のドンといわれる青木幹雄元参院会長を訪ねていたことを読売新聞が報じた。その2日前にも、かつての盟友・麻生太郎を訪れているのだ。84歳の老政治家が「息子をよろしくお願いします」と頭を下げに行ったのであろう。
まさに一家総出で太郎を総裁・総理にしようとしているのである。文春のいうように、<口では改革者のイメージを掲げても、中身は古い自民党そのもの。そこに、河野氏が抱えている危うさがある>。河野の裏には菅義偉と二階俊博がいる。これで長老支配打破ができるのか、記者諸君、ぜひ聞いてみてくれないか。