22日(2021年9月)の「モーニングショー」は、厚労省がホームページで公開したコロナワクチンに関する誤情報を取り上げ、デマがどのように広がっていくのかを読み解いた。(公開された誤情報は、「接種により遺伝子に変化を生じさせる」「接種が不妊の原因となる」といったもの。
番組は、東京大学大学院の鳥海不二夫教授がことし1月~7月にツイッターを分析した結果を紹介。「ワクチンが不妊につながる」というデマは約11万件あったが、調べてみると、最初に投稿したのはわずか29アカウントの発信者だった。その後、拡散者がリツイートなどしたことでおよそ5万件にまで膨れ上がっていたという。拡散者は熱心に何度も同じ投稿を広めているという傾向が分かったという。
「フィルターバブル」との関係
鳥海教授は「拡散者には誤情報を信じている人と、真偽はさておき、面白がっている人がいる。誤情報を拡散する人は『またこんな情報が出てきた』と新しい情報が出るたびに内容を更新し、何度も拡散する」と話している。
なぜ、人は誤った情報を信じてしまうのか。その理由は「フィルターバブル」にある。ネットやSNSでは、自分と似た意見の情報が流れてくる傾向があり、このバブルの中に入ってしまうと、特定の意見だけしか耳目に入ってこなくなってしまうのだ。ITジャーナリストの三上洋氏は、バブルの仕組みをこう説明する。
「SNSというのはもともと、自分の知りたい情報だけが出てくるような仕組みになっている。フォローしている人や検索結果や『いいね』を押したものなどで、出てくる情報が偏ってきてしまうのです。例えばユーチューブで、誤情報が流れていたら、関連として同じようなものが出てくる。ワクチンに関する誤情報の動画をどんどん見続けていると、気が付くと洗脳されてしまう」(三上氏)
番組が話を聞いた20代女性Aさんのケースでは、夫と義母が「ワクチンを打つと不妊になる」などの誤情報を信じていてワクチンを打たせてくれない。Aさんは仕事と称して家族には内緒でワクチンを打ちに行く予定だという。
Aさんは「ワクチン接種することになぜ罪悪感を持たないといけないのだろう。当初は誤情報だと説得しようとしたが、考えを否定すると機嫌が悪くなるため、今は真っ向から否定しないようにしている。これ以上関係が悪くなったら実家に帰ることも考える」と話しており、事態は深刻なようだ。
三上氏「これは難しい問題で、理詰めで説得しようとすると誤情報を信じている人はなお強硬になってしまうんです。例えば『それは陰謀だ』とか『裏側に事情があるはずだ』とか言ってきて、普通の議論にならないんです。ですので、議論しようとせず、まずは聞いてあげて、『それはどういうこと?』『そこはもうちょっと調べた方がいいんじゃない?』と少しずつ近づいていくしかない」
(ピノコ)