朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が発射した長距離の巡航ミサイルが1500キロを飛行し、東京を含む日本列島全域を射程にしたと、同国メディアが伝えたことについて、その狙いは何か?14日(2021年9月)の「あさチャン!」が伝えた。
韓国メディアが「北朝鮮版トマホーク」と呼ぶミサイルは、今年3月に発射した弾道ミサイルとは異なり、長距離巡航ミサイルとされる。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏によると、陸上を通過する場合は地形の谷間を縫うように進み、高層ビルがあればその横をすりぬける。飛行機のように水平に低い高度を飛行するため、レーダーでとらえることは難しく迎撃が困難とされる。
「あさチャン!」で専門家らが分析
韓国メディアによると、韓国軍当局は、2日間にわたって行われた北朝鮮のミサイルテストの事前準備作業をつかめず、ミサイル発射後も探知できなかった可能性を示唆した、という。北朝鮮メディアによると、今回の実験は、「楕円および八の字型飛行軌道に沿って、2時間6分20秒飛行し、1500キロ先の標的に命中した」とされる。射程が1500キロならば、日本列島のほぼ全域に到達することになる。
今回のミサイルの脅威について、黒井氏は「実践を考えた時に大きいのは、命中精度が高く、(東京の省庁や沖縄の在日米軍基地などを)ピンポイントで攻撃することができる」点だという。加藤官房長官は13日、「1500キロを航行するミサイルの発射が事実とすれば、日本を取り巻く地域の平和と安全を脅かすものであり、日本としては懸念を有している」。ミサイルは、日本のEEZ(排他的経済水域)内には飛来しなかった。
北朝鮮は先週木曜日に、建国73年を祝う軍事パレードをした時には、正規軍は参加せず、ミサイルなど戦略兵器は登場しなかった。今回のミサイル発射には、金正恩総書記は立ち会わなかった、と見られる。共同通信の磐村和哉・元平壌支局長は、「最高指導者が視察することになると、国を挙げての大騒ぎになるので、あまり刺激しないようにしようという狙いがあるのでは、と見られている。バイデン政権は北朝鮮に対話を呼び掛けている。それを突っぱねる形ではない」。今回のミサイル発射のタイミングについては、14日に東京で開催される日米韓の北朝鮮担当高官会議をけん制したものと見る。一方で、韓国の政府関係者は「対外向けというより国内向けの性格が強い」と分析する。
(栄)