あたり一面に広がる煙の中、市民たちが「マクロンだまれ、パリよ立ち上がれ、権利を取り戻せ」と叫びながら警官隊とにらみ合う。催涙ガスやスプレーを使う警察に対し、爆竹で対抗するのはワクチンパスポートに反対する市民たちだ。
衛生パスと呼ばれるフランスのワクチンパスポート制度だが、成人は8月9日(2021年)から開始され、レストランや病院、映画館、長距離移動交通機関などほとんどの場所で衛生パスか陰性照明の提示が求められている。違反すると一般客は1万7500円の罰金、施設側には業務停止命令や懲役刑などが科される。しかし今月11日、これに反発した市民たち約1万7000人が抗議デモを行い暴徒化、104人が逮捕される騒ぎとなった。
「めざまし8」が伝えた国内の動き
フランスで激しい抗議活動が起きたワクチンパスポートだが、日本の動きはどうなっているのか。13日の「めざまし8」が伝えた。
先週木曜、菅義偉首相は「緊急事態宣言等の地域であっても、ワクチンの接種照明や陰性照明を活用し制限を緩和していきます」と、ワクチン検査パッケージを利用した行動制限緩和の基本方針を打ち出している。
その一方、9月11日に行われた全国知事会では「不当な差別につながらないよう慎重な運用が必要」といった懸念の声も出ている。西村康稔・経済再生相も「フランスでは法制化で激しいデモが起きている。そうならないようしっかり検討したい」と考えを示している。
現在、海外渡航に限り発行されているワクチン証明書だが、政府原案では飲食店やイベント会場など、感染リスクが高い場合に提示を求める方向で検討されているという。また、就職や入学で接種を要件とすることは、不当な差別的取扱いに当たる可能性があるとして、留意すべきとしている。
ワクチン未接種者への差別を生まないように経済活動を再開するにはどうすれば良いのか。