総選挙の日程がちらついてきたせいか、新型コロナをめぐる行動制限の緩和に政府が前のめりだ。「ワクチンの接種などを条件に、緊急事態宣言などが出ている地域でも、飲食店の利用や県をまたぐ移動などの行動制限を緩和するという案をまとめました」ときょう9日(2021年9月)の「あさチャン!」でMCの夏目三久が切り出した。
飲食店の時短営業や大規模イベントの観客上限人数、小規模分散型での県境を越える旅行などを緩和する実証実験を来月から始め、11月以降に本格的に緩和するという。
夏目三久「まだ詰めるという部分もあると思います」
「一方、『議論が不十分で時期尚早だ』『ワクチンの持続性が不透明』などの声も出ています」と日比麻音子アナウンサーが伝えたのは、専門家らの反応だ。番組は、8日に行われた政府分科会での一幕を取り上げた。
分科会で政府側は、飲食店などに入店する際に「接種証明の提示を求めることも可能」とする考え方をまとめた資料を用意していたのだが、西村康稔・経済再生相が「政府からワクチン証明、接種証明の利用に関する基本的考え方についてご説明させていただく予定にしております」と発言した直後、事務方が「資料はなかったことにしてほしい」と釈明したという。委員から「分科会の提言を踏まえていない」と再考を求められたのが原因らしい。
ある分科会の委員は番組に対し、「ワクチンを打っても時間が経てば抗体は減少する。ワクチン証明書の有効期限が整理できていないし、証明書の効力と有効期限がどう整合性がとれているかなど、時間軸が書かれていないので全く意味がわからない」「政府は急ぎすぎ。官邸は選挙をにらんで経済の回復の明るい光を示したいんだろうけど、拙速だよ」と説明した。分科会でも「運用の仕方があいまい」「(未接種者に対する)差別防止対策が不十分」など多くの異論が出たという。
西村氏は以前にも、酒類提供を続ける飲食店に対して金融機関からの働きかけを要請する方針を表明して猛批判をあび、撤回に追い込まれる「失態」を演じている。見切り発車的な行動制限緩和について、夏目も「まだ詰めるという部分もあると思います」とコメントしていた。
(キャンディ)