「今中国で、芸能界の統制が強化されています」と司会の羽鳥慎一が伝えた。8日(2021年9月)の「モーニングショー」はファンの行き過ぎた行動に対し、規制に乗り出した中国政府と、その狙いについて報じた。
4日、116万人が登録するBTSメンバーのジミンさんのファンサイトが突然停止になった。中国メディアによると、このサイトはジミン仕様の飛行機を飛ばす資金集めをしていて、募金開始からわずか1時間半で日本円で約4000万円を集めていた。
「偏ったスタイルを排除すべきだ」とも
さらに問題になっているのが、ネットアイドルに「投げ銭」と呼ばれる小遣いをプレゼントするサイト。ファンが画面上にロケットを飛ばすとアイドルに小遣いを渡すことになるが、ロケットは1機約3万4000円。たった1回の配信で約680万円もの投げ銭を手にしたアイドルもいる。
中国政府は「フォロー数や閲覧数で左右されることに断固反対する。ファンに対して物を購入するなどの手段で投票するように誘導してはならない」とこうしたやり方を禁止した。
規制の対象は、それだけではない。「出演者が男なのに男らしくない」として、政府は「番組のスタイル、服装など厳しく管理し、偏ったスタイルを排除すべきだ」と、アイドルのオーディション番組などを放送禁止に。
ほかにも、「党や国と意見が食い違うものは採用してはならない」「芸能関係者にマルクス主義の徹底的な教育をすること」「放送機関はイデオロギー宣伝という責任を真剣に履行し管理責任を強化すべき」となど、締め付けを強化している。
中国政府の狙いは「芸能界にメス、庶民の不満のガス抜き」
中国政府の狙いについて、テレビ朝日中国総局の千々岩森生総局長は「高額ギャラや脱税で庶民からの批判が高まる芸能界にメスを入れ、不満のガス抜きをしようとしている。共産党が嫌うのは『影響力があり、コントロールできない存在』で、芸能界から党や国の思想と違う思想の者を排除する意図もある」と話す。
千々岩総局長によると、統制強化の裏にあるのは、習近平国家主席の3期目に向けた体制強化と世論の支持獲得だそうだ。
浜田敬子(ジャーナリスト)「8月には複数の芸能人・著名人を脱税で失職させたり、9月からの新学期には『習近平思想』という科目を学校で必修にしたり、着々と思想統制みたいなものを強めているなと感じます」
羽鳥「『第2の文化大革命』とまで言われているそうですね」
浜田「アイドルを見るというような日常のささやかな楽しみや、便利なサービスを取り上げられたら余計に不満が溜まりそうですけどね」
(ピノコ)