この7月期の連ドラを見て、興味を持ったものを紹介します。
7月7日、日本テレビの水曜午後10時枠で始まった「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」です。
大まかなあらすじを言いますと、交番に勤務する新人女性警察官(永野芽郁)は、晴れて公務員となれたものの、日々の苛烈な業務や、駐車違反者の悪態などに辟易し、辞職願を忍ばせながら日々を過ごしていました。そんな折り、新たな上司が赴任してくると耳にします。所長(ムロツヨシ)によると、その上司とは元刑事課のエースだった巡査部長(戸田恵梨香)で、パワハラで左遷されたと、噂されていました。
このドラマは、出来がよいのです。原作は漫画ですが、作者の秦三子さんはある県警に10年在籍後に専業漫画家に転身した方で、交番勤務の警察官の日常をリアルに描いて人気を博しています。脚本を担当した根本ノンジさんは、原作の世界観をリスペクトしたうえで、事件を解く刑事ドラマではなく、警察官という人間を描くこれまでにない警察ドラマに仕立てました。
コロナ禍で作り上げる出来のよいドラマにエールを送りたい
主な出演者3人の人間像が、良く描かれています。
永野芽郁が演じる新人警察官は志なく公務員をめざした結果が警察官というだけに、なにしろ情けないのです。やることなすこと全て裏目に出て、窃盗犯を追いかけては息切れして転倒するし、自殺をほのめかす通報を繰り返す若い男性に対しても、普通の対応をして、自殺をくい止めることができません。
それに対して、元エース刑事の戸田恵梨香は、警察学校を首席で卒業し、パトロール中にも、次々と犯罪者を検挙していきます。
永野は、戸田と共にペアで仕事をしていくうちに、警察の仕事にやりがいを感じるようになっていきますが、所長のムロツヨシも、のらりくらりしているようで、実は永野が辞めたがっていることも察していて、いろいろな心配りをしています。
戸田が、交番勤務にパワハラで左遷されたというのは間違いで、実は目的があって交番勤務に。それは、これから明らかになるでしょう。
バディもの(2人の主人公による、広義の友情の物語)にも、いろいろパターンがあります。「ハコヅメ」のバディは、最初は永野が必死の思いで戸田についていくのですが、永野の成長につれ、戸田も永野から教えてもらうことが増えてきて、警察の在り方を改めて考えるという構図になっているようです。
水曜の夜、このドラマを見ると明るい気持ちになれ、厳しいコロナ禍のなかでドラマ制作を支える皆さんにエールを送りたいと思います。