日曜深夜枠のドキュメンタリー「NNNドキュメント(2021)」。NNNとは日本テレビ系列の意味で、系列局が持ち回りで制作している。今回(8月23日未明)の「瀬戸内海がゴミ箱になる日」は南海放送の制作。
オープニング。美しい瀬戸内海の映像から一転、ゴミで溢れる海岸が映し出される。そこに1人の男性の姿。陸の側からは見えない海岸に集まったプラスチックごみを拾い続けている岩田功次さん(60才)、今回の主人公だ。以前、ニュースか何かで、韓国や中国から不法投棄されたゴミが日本に押し寄せているというのを見たことがあったので、てっきりそれかと思ったら、「(その地形から)瀬戸内海のゴミはほとんど日本人が棄てたゴミ」だと岩田さん。
拾ったゴミの処分も課題
私たちが棄てたゴミが何十年も堆積し、海岸にはゴミの層ができている。海の中には海岸の漂着ゴミの何十倍も沈んでいるというから驚く。岩田さんが瀬戸内海で見つけたゴミポイントはなんと500カ所。そのひとつ愛媛県・佐田岬半島の御所ケ浜でのゴミ拾いに密着した。海岸に打ち上げられたもの凄い数の発泡スチロールは波に削り取られると、細かく砕けてマイクロプラスチック化し、海の中へ。そうなると回収は困難だ。岩田さんの活動には頭が下がる。
ゴミ拾いにかかる費用は年間1000万円ほど。番組では拾ったゴミの処分についての問題点も挙げていた。拾えば拾うほど処分費がかかり、しかも、燃やすと大気汚染の懸念があるため、行政もその対応に苦慮している、と。
網と絡まったゴミと格闘しながら、「クジラもカメもあざらしも、こういうのにひっかかって死ぬんや。人は訴訟やら何やら起こすけど、自然生物は黙って死ぬんや」と言う岩田さんの呟きが刺さった。
「ジジイはすぐ死ぬけんのう。10年ぐらいはがんばるぞ、ゴミ拾い。......カッコいいくそじじいでやりますよ」と岩田さん。番組の終わりに、現在の御所ケ浜が映し出されたが、そこには大量のゴミが。瀬戸内海をゴミ箱にしてはいけない、と強く思う。私たちに出来ることは......。
ナレーターは新羅慎二(湘南乃風・若旦那)。堂々と落ち着いた声で局アナかと思ったほど。
(大熊猫)