平気で嘘をつける人間というのがいる。菅首相はその典型である。昨夜(2021年8月25日)の会見で、ワクチン接種率が向上してきているから、「明かりははっきりと見え始めている」と宣ったのである。何か別のことをいっているのではないかと耳を疑った。コロナ感染は日本中に広がり続け、菅は次々に緊急事態宣言を出さざるを得なくなっているのに、どこに明かりがあるというのか。世論に追い詰められて幻覚でも見たか。一国のリーダーが世迷言をいうようになったらお終いだ。
8月22日に投開票された横浜市長選は、投票が締め切られるとすぐにNHKが「立憲民主党の山中竹春氏当確」と報じ、菅が強く推した小此木八郎は「瞬殺」された。私は、有権者が小此木と、その後ろにいる菅の悪だくみに気付いた結果だと考えている。
現市長の林文子はカジノIR構想推進派だが、市民の多くはIRに反対している。そこで菅は一計を案じた。盟友の小此木に大臣を辞めさせ、IR反対を掲げて出馬させる。当選したら林市長同様、賛成派に寝返ればいいと考えたのに違いない。IR反対の小此木を菅が事務所ぐるみで応援したことで、市長選が国政選挙に格上げされ、菅政治が有権者によって「不信任」の烙印を押されたのである。
週刊文春が領収書付きスクープ!中国系企業から高額接待受けてた菅首相の取りまきたち
今週の週刊文春は、菅の側近といわれる林文子市長、平原敏英副市長、菅のタニマチといわれる在日韓国人でパチンコ経営者の河本善鎬(よしたか)の3人が、カジノIRに参入したい中国系の企業集団RXIグループ(仮名)から料亭で高額な接待を受け、どのようなやり取りをしていたのかを詳細に記してある裁判資料を入手したという。
河本がRXIの日本法人幹部に声をかけて始まったそうだが、コンサルタント契約を巡ってトラブルになり、簡易裁判所で民事調停になった際のものだそうだ。そこで平原は、「これが本格的に動き出せば、せめて一本ぐらいはオヤジにもっていかんといかんでしょうね」といった。このオヤジは菅のことで、一本は1000万円だそうだ。
別の日には、ゼネコンを仕切るには「確実に政治的に頼れるのはやっぱり菅さん。お願いするしかないだろう」(やはり菅と親しい元公明党の石井睦美横浜市議)。さらに先の平原から、ホテルを建設する場合は、容積率を緩和するという「機密情報」の説明も受けていたというのである。この話が成功して、カジノが造られれば、菅の側近たちに莫大な「利権」が転がり込むのだろうが、市との契約条件が折り合わずRXIは撤退した。
職務権限のある現役の副市長が接待を受けていたとなれば「単純収賄」に該当し、機密情報を流していたということになれば「加重収賄」になる可能性があると、落合洋司弁護士が指摘している。カジノ反対を訴えて当選した山中市長は、こうした菅や側近たちが蠢いたカジノ利権の闇を明るみに出す責任がある。