きのう(2021年8月24日)の東京の新規感染確認者数は4220人。亡くなった人は9人で、重症者は268人だった。
司会の羽鳥慎一は「前の週と比べると、ここ5日間のうち4日は前の週の数より減っています。表れていない数字があるのか、あるいは傾向として減ってきているのか。それならば良い方向ではあるのですが...」とコメント。
早期発見、早期介入
それに対して、公衆衛生学者で元WHO上級顧問の渋谷健司氏は「東京では保健所がすでにひっ迫していますので、実際の感染者数は正確には分からなくなっている状態ですし、データを見るとピークアウトしているとは思いません。実際にECMOネットのデータを見ますとECMOや人工呼吸器を装着している人は急速に増えていますので、まだまだ重症者、亡くなる方が増えてくると思います」と指摘した。
そんな中、番組は東京・墨田区の取り組みに注目。墨田区では、自宅療養者は416人で入院している人は51人だが、重症者と入院・療養等調整中の人はともに0人なのだ。
重症者0の理由について墨田区の広報担当者は「自宅療養者や軽症者を早期発見、早期介入し、重症化させない体制づくりに力を入れていることが結果として表れているのかもしれない」と話す。
具体的には、30歳以上の自宅療養者の人には、保健所が毎日電話で健康観察(30歳未満は都のフォローアップセンターが行っている)。異変に気付いた場合は保健所の指示で医師や看護師が往診し、自宅で酸素投与やステロイド治療を行っている。
保健所の担当者を増員
このような理想的なフォローができるのは、1年以上前からの備えがある。コロナ前には保健所の感染症担当職員は10人だったが、去年(2020年)4月から人材派遣会社からの保健師や他部署からの応援で順次増員。約100人に拡大したのだ。
「自覚症状で重症だと思い、不安で救急車を呼ぶ自宅療養者もいて、それが医療現場の負担の1つになっている。保健所が自宅療養者に対しひんぱんに連絡をとって不安を減らすことで医療現場への負担も減らすことができる」(墨田区の広報担当者)
それだけではない。抗体カクテル療法は7月19日に承認されたが、墨田区はその1週間後に抗体カクテル療法専用病床20床の運用を開始。先週の20日(8月)までに28人が治療を受け、全員が経過良好だということだ。
渋谷氏「まさに公衆衛生と医療が一体化している理想的な例です。行政と医師会の連携もうまく取れている印象があります」
(ピノコ)