東京パラリンピックが今日24日(2021年8月)から始まる。子ども世代のウイルス感染が急拡大するなか、競技会場がある1都3県が「無観客」の例外として小中学生に観戦させるプログラムをめぐり、保護者や教師に不安が広がっている問題を「あさチャン!」が取り上げた。
事前検査を検討
「学校連携観戦プログラム」では、18日の時点で最大13万2000人の児童・生徒が観戦予定と東京都は公表したが、新型コロナウイルス感染が急拡大していることもあって参加辞退が相次いでいる。こうした状況を踏まえ、東京都は23日になって、参加者に新型コロナウイルスの事前検査を検討していることを明らかにした。
児童らの観戦については、19日の参院内閣委員会(閉会中審査)で、政府分科会の尾身茂会長は、「(感染)状況はかなり悪い。観客を入れるのはどういうことか。考えていただければ当然の結論になると思う」と否定的な見解を示した。
18日の東京都の教育委員会でも、出席した4人の委員は「テレビ観戦でも教育上の効果はある」などと全員が反対した。これに対し、小池百合子都知事は、「子どもたちがパラスポーツをどうやって楽しむか、学ぶ機会を作って参りました」。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は「何としても学校連携は実現したい」と強行する姿勢を変えていない。
引率教員の不安
都内江東区で、小学3年生の母親は、参加の意思を問う学校からのメールを見せながら、「出席の返事をしました。悩んだんですけど、一番は子供の気持ちでした」。小学6年の息子がいる父親は、「会場には行かせないつもりだ」。息子は、「行きたかったんですけれど、コロナで楽しめるのか、やっぱり自分の命の方が大事なのかなって」。
観戦を実施する学校の教員は「教育的価値はあるものの、この時期にすべきかというのはかなり疑問がある」。最大で児童200人を引率する可能性があるという。「ここ2年ほど校外学習自体がほとんどない。教員もコロナ禍でのほぼ初めての大規模な引率に。不安な先生は多いと思う」。
番組では、学校観戦問題について、スタジオでの議論など突っ込んだ考察をする場面がなかった。そもそも、原則無観客とした中で、小池都知事や大会組織委はどうして「児童・生徒だけは競技場へ連れていきたい」のか?反対した都の教育委員が述べたように、「テレビ観戦」と教育効果がどれだけ違うのか?パラリンピックの観客席に子どもたちの姿を並べる政治的効果を狙う思惑があるなら、子どもたちの背負うリスクはあまりにも大きい。
(栄)