スマホで高級車のロック解除 専門家が「追加が必要」と指摘する「鍵」とは

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「国産高級車の窃盗が相次いでいます」

   MCの羽鳥慎一は19日(2021年8月)の放送で、そう言ったあと「番組が確認しただけでも1週間に3件の窃盗の映像がありました」と続けた。

  • 新手口の車両盗難が相次いでおり、注意が必要(写真はイメージ)
    新手口の車両盗難が相次いでおり、注意が必要(写真はイメージ)
  • 新手口の車両盗難が相次いでおり、注意が必要(写真はイメージ)

窃盗場面の映像

   最初に紹介されたのは16日早朝、東大阪市の中古車販売店の防犯カメラ映像。近づいてきた車が国産高級車の前で停車すると、中から黒ずくめの1人が降りてきた。乗ってきた車のトランクを開け、何かを手にして高級車のドア付近で何やらゴゾゴソしている。その約40秒後、車に戻ると、今度はもう1人が降りてきて運転席のドアロックを解除、ドアを開けて乗り込んだ。最初の1人が乗ってきた車に戻ろうとした瞬間、立ち止まって運転席に話しかけるしぐさ。通りを自転車に乗った人が通りかかったのだ。自転車が通り過ぎると、最初の1人は乗ってきた車に乗り込み立ち去り、別の1人は高級国産車を運転して立ち去って行った。たった3分の出来事だった。

   11日の明け方には袖ケ浦市の自動車販売店の防犯カメラが窃盗の瞬間を捉えていた。駐車場に入ってきた車から男が降り、高級車の横で身をかがめると、高級車のライトが点灯。映像では高級車の前は壁、後ろにはワゴン車が隙間なく停車している。男は目当ての車に乗り込むと、後ろのワゴン車を高級車で押し出すように動かして隙間を作ると、そのまま運転して敷地外に出ていった。

   さらに8月9日深夜には相模原市に駐車してあった高級車に男が近づくと、見張り役らしき男が辺りを警戒する。すぐに高級車のライトが点灯し、男は車の中に。見張り役は乗ってきた車に戻り、実行役は高級車に乗って走り去っていった。これもわずか数分の出来事だった。

   このほかにも7月2日には木更津市の自動車販売店でリュックからスマホを取り出した犯人が高級車前方でかがむと、あっという間にロックを解除してしまった映像もあった。これらの犯行の共通点は「タブレットやスマホなどを使用する新手口」であること。

玉川徹、「暗証番号」導入も「必要になってくるかも」と指摘

   日本カーセキュリティ協会の攪上智久代表理事によると「コンピューターやタブレットを使用し車を制御しているコンピューターを操作している。窃盗に使用する機器も小型化し性能も向上、安価になり入手しやすくなっている」と話す。

   窃盗被害を防ぐには、標準のロックに加え、ハンドルやタイヤのロックをする必要があるという。攪上氏は「さらに、エンジンを制御する鍵の追加も必要。窃盗犯はロック解除に時間がかかることを嫌がるので、いろいろロックを組み合わせ面倒だと思わせることが大切」と指摘する。

   社会活動家の石山アンジュは「ITを導入したコネクティッドカーは本来、盗難等を防ぐ目的で開発されたのですが、この新手口はそこに入り込んできた。防止技術の検討が求められている」とコメント。

   テレビ朝日のコメンテーター、玉川徹は「エンジン制御の鍵や物理的な鍵などに加え、暗証番号を入れないと動かないような仕掛けも必要になってくるかも」と話した。

   羽鳥は「犯人と技術の追いかけっこになっています。防犯のポイントは複数の鍵をかけるなどして手間がかかると思わせることです」と話した。

(バルバス)

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