17日(2021年8月)の「モーニングショー」には池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師がリモートで出演。「東京都の医療崩壊」の現状を語った。
豊島区にある大谷医師のクリニックでは、7月の終わりくらいから陽性者数が激増。直近1週間では52人が陽性だった。陽性率は51.5%にまで上がっており、年末年始の第3波を超えて最悪の状況になっているという。
まるで溺れているかのような苦しさ
最近の感染者の特徴は、お盆や帰省での感染者が増えていること。「先週の土曜日だけで4名帰省帰りの陽性者がいました。小池都知事のメッセージが遅すぎたのか、届いたのか...。自分だけは大丈夫と思って帰ってしまったという方ばかりです。現場としては、ワクチンが普及するまでのあと数カ月、我慢してほしかった」と大谷医師は言う。
さらに、クリニックの患者の中では、中等症でも入院できないケースが複数発生しているという。入院が必要な中等症患者は、8月に入り10人いたが、実際に入院できたとは5人だけだったというのだ。
大谷医師は入院できなかったケースの1例を挙げた。Cさんは基礎疾患のない40代男性の会社員。普段から外食はせず、公共の交通機関も使わないなど、感染対策を徹底していたのにも関わらず、2日に陽性が判明した。
6日後の8日、室内を歩くだけで血中酸素飽和度が87%まで低下し、救急車を要請。救急隊が到着した時、酸素飽和度は91%だったが、「どこにも入れられるベッドがない」と告げられ、搬送を断られてしまった。酸素飽和度の正常値は96~98%で、90%になると2分間息を止めたときのような呼吸状態になるという。まるで溺れているかのような苦しさだそうだ。
「ここは絶対に入院すべきだったのですが...」
「前提として、ガイドラインでもコロナの場合は93%で入院適用なんです。酸素飽和度が90%を切ると脳や内臓にダメージを起こしてしまう。ですから、ここは絶対に入院すべきだったのですが、救急隊は帰ってしまった。今まで30年医者をしていてこんなことは初めてです」(大谷医師)
司会の羽鳥慎一「救急隊は帰らざるを得なかった。そういう状況までなっているということですね」
大谷医師「完全に医療崩壊しています」
大谷医師は11日夜、応急処置としてCさんに酸素濃縮器を届けたが、12日早朝に容態が悪化。酸素吸入しても酸素飽和度が90%になってしまった。再び救急隊を呼んだが、豊島区の病院はいっぱい。ようやく八王子の病院に空きがみつかり、やっと入院することができた。
大谷医師「酸素吸入で一時的な時間稼ぎにはなっても、ステロイドと抗ウイルス薬で炎症を取らないと救命はできない。万が一救命できたとしても、遅れれば遅れるほど肺の線維化が残ってしまうので、後遺症が残ってしまうかもしれない。体育館でも野戦病院でもいいので、治療できるところを作ることが必要です」
(ピノコ)