アフガニスタンの首都カブールが大混乱に陥っている。17日(2021年8月)の「めざまし8」ではカブールの国際空港で撮影された映像を紹介したが、そこには飛行機に群がる数千人の市民。
イスタンブールに向かう機内では大人の怒号が飛び交う中で子どもたちが泣き叫ぶ。市民の殺到で飛行機の欠航も相次ぎ、空港の混乱では少なくとも5人が死亡したという。米軍基地でも離陸しようとする機体にしがみつく人たちの姿が。落下して死亡した人もいるという。
タリバンによる首都カブール制圧
市街地は逃げ出そうとする人々の車で大渋滞。銀行には預金を引き出す人たちの行列ができている一方で、商店街には人影がない。パキスタンとの国境付近では多くの人が国境越えを試みている。
混乱の原因は反政府組織タリバンによる首都カブール制圧。戦場ジャーナリストの渡部陽一さんによると、過去にビジネスや通訳などで多国籍軍と何らかの関わりを持ち、タリバンに狙われることがわかっている人たちが脱出しようと殺到している状況だという。
カブールでは大統領府がタリバンに掌握され、大統領の椅子にはタリバン兵士が座っている。政府軍トップの自宅でも兵士たちが豪華な家具に囲まれながら優雅に食事をしている。アフガニスタン国家和解高等評議会のアブドラ議長は「ガニ大統領は国を離れ、厳しい状況に置かれた。神は彼に責任を負わせ、国民は彼に裁きを下すだろう」とコメントしている。
米ブリンケン国務長官は「アフガニスタン政府軍は自国を守る能力がないことを露呈し、事態は想定以上に急速に進んだ」として、現地大使館員や民間人を避難させるため部隊を追加派遣しているが、すでに現地の群衆は制御不能な状況になっている。バイデン大統領も「タリバンの首都制圧は想定外の速さだった」と認めた上で、「この1週間の状況は米軍のアフガン関与を終わらせることが正しい判断だと再確認させた」と強調している。
今後の展開は?
アフガニスタンはこれからどうなるのか。渡部陽一さんは「現時点ではタリバン広報官は、武力で脅したり、女性や子どもの人権や教育を破壊したりはしないといっているが、人権が奪われることは現実的に起きると思う」と語る。
三浦瑠麗(国際政治学者)「アフガニスタンの国民が苦しむのは間違いない。アメリカがこういう形で撤退したことで、アメリカの持っている理念上の力が削がれる。中国やロシアがつけいってくることが考えられるが、単純な見方はできない。ロシアはかつてアフガンで戦い、大きな犠牲を被って撤退した。中国も自国内にイスラム少数民族問題をかかえている。アメリカ、イギリス、日本はタリバン政権を認めるわけにいかない。ベトナム撤退後よりも危険な暗黒の時代がアフガニスタンの中で始まる。そもそも2001年に、アルカイダやビンラディンだけを排除すればいいというあまり考えない形で大規模侵攻をしたことが一番の失敗」
デービッド・アトキンソン(実業家)「アフガニスタンがテロの温床になることはしばらくはないと思うが、ゆくゆくどうなるのか保証はない。内政もどうするのか。地理的になかなか難しい国で、これからどうなるか分からない」
(みっちゃん)