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ソニーに時価総額で5倍の差を付けられたパナソニックの没落!両社の決定的違いはトップの"聞く力"

   かつて松下電器は家電業界の雄であった。ここがパナソニックと社名変更してから凋落が始まったように思う。週刊現代によれば、パナソニックの現在の時価総額は約3.3兆円だが、ライバルのソニーは約14.5兆円と、5倍近い差を付けられてしまっている。

   なぜ、このような違いが出てきてしまったのか。現代は経営のトップに問題があると見ている。ソニーの盛田昭夫はイエスマンを嫌った。一方のパナは、大阪・門真にでんと構えているお公家さんのようで、「とてもじゃないけれどイノベーションが起きるような雰囲気ではありません」(元パナの取締役の秋山正樹)。

   私が付き合っていた頃は松下の時代だが、たしかに松下の人間は"お行儀"はいいが、どこか、われわれ雑誌屋を見下しているような雰囲気があった。ソニーは出井伸之が社長になった時だったが、その直前に一緒に呑んだ時は、たしか広報担当の取締役だったと記憶している。取締役から14人抜きでの大抜擢だったが、IT分野を推し進め、今日のソニーの礎を築いた。

   2社の運命が別れたのは、トップに部下の話を聞く力があったソニー、なかったパナの違いだと現代は指摘している。偉くなるにしたがってバカになる日本的な企業風土では、名経営者は出てはこないということだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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