猪子寿之、リナ・サワヤマ、ときど、小澤マリア...世界が尊敬する日本人!好きなことをとことん追求する彼ら彼女ら――ほか5編

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   ニューズウイーク日本版が「世界が尊敬する日本人100人」という特集を組んだ主旨をこう書いている。<日本は正しい方向に進んでいるのだろうか。バブル崩壊後の長い停滞から抜け出せず、気が付けば、国際社会から取り残されてしまったのではないか>。そんな気持ちになっている多くの日本人のために、世界を牽引する日本人がいる、誰も見たことがない風景を切り開く日本人がいることを知ってもらいたいというのである。

   市川海老蔵、吾峠呼世晴(鬼滅の刃の女性漫画家)、松山英樹、大谷翔平、大坂なおみ、安藤忠雄、坂本龍一は知っているが、初めて目にする名前も多い。猪子寿之はデジタルアートの世界では第一人者で、東京・お台場にある「チームラボボーダレス」の訪問者数は世界一で、アムステルダムの「ゴッホ美術館」を超える年間230万人にもなるという。

   BLACKはヨーヨーパフォーマーで、「シルク・ドゥ・ソレイユ」にも出演している。YouTubeで見てみたが、ヨーヨーが見事に芸術していた。リナ・サワヤマはイギリスで活躍するシンガーソングライターでエンターテイナー。エルトン・ジョンが絶賛し、今年1月(2021年)にはジョンとのデュエット曲を出している。

   インド映画の中心地ムンバイで撮影監督として活躍しているのが中原圭子。東大出のプロゲーマーとして、北米では「格闘ゲーム5人の神」の1人として知られ、すでに56万ドル以上を稼いでいるという「ときど」。江戸時代からあった「和時計」を腕時計に搭載してヨーロッパ人を驚かせたのは菊野昌宏。鬼才の時計師たちでつくる「独立時計師アカデミー」の会員は31人しかいないが、日本人として初めて正会員に選ばれている。

   中国の弁護士に「もっとも尊敬する日本人は誰か」と聞くと、全員が阿古智子と答えるといわれる人権派の東京大大学院教授。中華圏や東南アジアで高い人気を誇る元女優・小澤マリアは、現在は歌舞伎町のバーカウンターに立つが、コロナが終息したらフィリピンに戻るという。

   ヒカル・ナカムラは大阪生まれでアメリカに移り住んだチェスのトッププレーヤー。全米チャンピオンの座を5回獲得していて、伝説のボビー・フィッシャーの持つ8回の記録を追い越すのも夢ではないといわれている。たしかにすごい日本人がいるものだ。彼ら彼女たちに共通するのは、自分が心から楽しめるもの、関心のあるものを見つけ出し、それをとことん追求する生き方であろう。

オリンピック狂騒で国民に押し付けられるツケ「消費税15%」バッハの1泊300万円の宿泊代も肩代わり!?

   尊敬できる日本人がいるかと思えば、尊敬できない日本人も多くいる。現時点でのワースト1は菅首相で決まりだろうが、2番手にはソフトボールの後藤希友投手の金メダルどころか、金のしゃちほこまで齧ったといわれる河村たかし名古屋市長に票が集まるのではないか。品性下劣というのは彼のことを指す言葉だ。IOCは河村のよだれで穢れた金メダルを交換するそうだ。ついでに河村も取り換えてほしい。

   ワースト3にはテレビ朝日のアホども。閉会式の夜、五輪担当のスタッフ10人で打ち上げと称して宴会を開き、大酒を呑んだあげくにカラオケに繰り出した。その中の女性が泥酔して2階から転落し重傷を負った。

   自粛を呼びかける側のメディアの人間がなぜ、などという気はない。どこにもいるバカな人間が、バカなことをやっただけだ。当然だが、こんな連中を使っていたテレビ朝日の責任こそ、問われるべきであろう。

   パラリンピックはこれからだが、東京五輪という宴が残したのは瞬間的な感動と莫大な負債である。以前から、IMF(国際通貨基金)は日本の際限のない補正予算依存に対して、「2030年までに消費税15%引き上げが必要」だと勧告していた。そこに3兆円とも4兆円ともいわれる五輪費用が上積みされた。

   週刊現代は、7月28日に厚生労働省が雇用保険料の引き上げを検討していることに注目した。理由は、休業手当を助成する「雇用調整助成金」の給付決定額が4兆円を超え、財源が不足しているためだというが、労使双方に負担がかかってくることになる。それに、9月以降は「コロナ対策」の名目で、住民税や法人税、所得税の各種控除の縮小などの「増税」をやってくると思われる。

   消費税15%も視野に入っているはずだ。日本人の大多数が開催に疑義を唱えた東京五輪だが、そのツケは国民に必ず回ってくるのである。その中には、ホテルオークラの1泊300万円近いスイートルームに泊まったバッハIOC会長の宿泊代も含まれている。これで怒らなかったらいつ怒るのだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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