菅続投は消え、解散・総選挙後は「自民・公明・維新」連立政権!で、次の首相は?ああ、あの人がいたか――ほか4編

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   東京五輪とワクチン接種に政権の命運を賭けた菅首相が惨敗を喫した。五輪開幕後に朝日新聞とNHKが実施した世論調査で、支持率は過去最低の28%、29%だった。政権末期といっていいだろう。

   朝日新聞(2021年8月11日付)は社説で「菅氏に任せて大丈夫か」という見出しを打ち、<新型コロナ「第5波」の勢いが収まらず、首都圏を中心に医療体制が逼迫(ひっぱく)の度を増している。にもかかわらず、菅政権は酒類の提供対策に続き、入院方針の転換をめぐっても迷走を繰り返した。緊急事態宣言下での東京五輪の強行で、行動抑制の訴えも国民に届かない。このまま人々の命と暮らしを任せて大丈夫なのか>と批判した。

   週刊現代、週刊文春に続いて週刊朝日も、「衆院選289選挙区当落予想」を掲載し、政治ジャーナリストの角谷浩一は自民党が現有議席から41、選挙プランナーの松田馨は63と大幅な議席減になると予想している。

   公明党はいずれの週刊誌の予測でも現有議席維持か少し減るとしているが、そろって大阪維新が躍進すると予想しているのが目立つ。衆院選後、公明党だけではなく、維新の会を抱き込んで自公維連立政権ができる可能性があるようだ。

   どちらにしても、菅の続投は潰え、早くもポスト菅に自民党内の関心は移ったようである。このタイミングで、総務大臣経験者の高市早苗が文藝春秋(9月号)で「総裁選に出馬する」と宣言した。読んでみたが、なぜ菅ではいけないのかというキモの部分が、<自民党員や国民の皆様の十分な信任を受ける機会がなかった>というだけで弱い。政策も出来の悪い安倍前首相のアベノミクスの丸写しで、自ら「間抜けな響きで残念だがサナエノミクス」としているように、底の抜けた金融緩和と原発依存では、安倍政治の悪夢が繰り返されることになるだけだ。

   といって誰がいいのかといわれると、答えに窮するというのが正直なところである。一時は待望論が出た河野太郎は、菅のいうがまま大量にワクチン接種を進めたが、肝心のワクチン供給が間に合わず、虎の威を借る小物だということがばれて失速した。岸田文雄は安倍の傀儡。石破茂も前回の惨敗で自信喪失しているようだ。

   バイデン大統領の副大統領、セクハラで辞任するクオモ・ニューヨーク州知事の後任も女性のようだから、菅の次は女性がいいとは思う。小池百合子はコロナ対策の不手際や、菅と一緒に東京五輪を強行開催した大きなバッドマークがつくから無理だろう。安倍が寵愛した稲田朋美は論外。そうなると、残るのは野田聖子か。不妊治療や離婚を経験し、夫婦別姓問題にも力を入れているから、他よりはましという超消極的な理由からだが。

斉藤慶子「還暦記念撮り下ろし」デビュー時と変わらない素晴らしいボディー!次はヘアヌードをぜひ!

   ところで、ここではほとんど取り上げない週刊現代と週刊ポストについて見てみたい。両誌ともに夏の合併号は550円。週刊文春、週刊新潮は480円。値段が高い分は特集の充実には向けられず、SEXYグラビアに注ぎ込まれる。

   ポストは「スクープ!競泳元日本代表美女選手が全裸バタフライ」「神宮寺ナオ いま一番売れている美熟女さん」「葉月つばさ初解禁 かわいいバストトップ」「100人のヌード」と、何と袋とじが4つもある。これほどのカネと努力と知恵を特集に注ぎ込んだ方がいいと思うのだが、そういう考えは露ほどもないようである。ご立派というべきか。

   現代の袋とじは「これは、芸術か、猥褻か。――伝説の発禁写真集の中身を初公開 写真集『NEW・NUDE』『カメラ毎日』別冊」と「福井セリナ、独占生ヒップ―慶応大卒の現役薬剤師・27歳」の2本だけだが、売りは「斉藤慶子、昔撮った写真ではありません――還暦記念撮り下ろし」である。ほんとに彼女は還暦なのかと驚く。大学在学中(1982年)に「JAL沖縄キャンペーンガール」としてデビューした頃と顔も身体もほとんど変わらない。彼女のヘア・ヌード写真集が出たら真っ先に買うのだがな。これらのグラビアが部数減の歯止めになっているかといえば、そうなっていないところに両誌の深刻な現状がある。

もう期待できなくなった「親から生前贈与」相続税大改正でがっぽり増税

   週刊ポストの大特集は「60すぎて飲んだら危ない薬『全実名リスト』」と毎度おなじみだが、週刊現代は「1週間で済ませる人生最後の『手続き』」で、その中で「今年の12月31日までに子と孫に贈与しないと、大損します」というのがある。相続問題は現代のお家芸だが、今週は週刊文春も「相続が変わる」という特集を組んでいる。

   私のように子どもたちに残す資産など何もない人間には無縁の記事だが、もてる者にとっては大問題なのだろう。現代で見てみよう。2年前に行われた「相続法の大改正」で先送りされた「贈与に関する特例の抜本的見直し」が、まもなく始まろうとしているとして具体的なケースを挙げている。

   <千葉県在住の玉木義晴さん(82歳・仮名)は、2年前から相続税対策として暦年贈与を始めた。「4人の子どもに、100万円ずつ贈与しています。私が90歳で死ぬとしても、それまでに2800万円ほど無税で生前贈与できる計算です」

   しかし、玉木さんの皮算用は甘い。なぜなら、この暦年贈与こそ、これから縮小・廃止へ向かう特例の筆頭格だからだ。暦年贈与には、相続税逃れを防ぐため、「被相続人が死亡する直前3年間の贈与に相続税を課すという『持ち戻し』の規則がある。たとえば再来年以降、この期間が現在の3年から15年へ延長される可能性がある。すると、どうなるか。

   玉木さんが90歳で亡くなるとすると、持ち戻し期間延長後は暦年贈与の効力がなくなる。84~87歳の間に無税で子へ渡せるはずだった1600万円に、相続税が課せられることになるのだ。持ち戻し期間の大幅延長は、事実上「暦年贈与の廃止」と同等のインパクトをもたらす>

   税理士の戸崎貴之がこういっている。<「業界では、日本独自の贈与税の特例制度は、今後数年でなくなっていくと予測されています。特に暦年贈与はもう長年、縮小・廃止の議論が続いている。節税を考えている方には、大きな痛手になるでしょう。

   さらには、贈与の特例が全て廃止され、アメリカやイギリスなどのように贈与税と相続税が一本化されるシナリオもあり得ます」>

   現代によれば、<来年後半には、こうした特例の期限や、相続法の再改正を見越した「駆け込み贈与」が集中するだろう。この「2022年ショック」に巻き込まれる前に対策を始めたい>。私もこうした問題で悩んでみたいものだ。

あなたの住まいは大丈夫?東京の地下に「埋没谷」地質地盤図インストールしてすぐチェック

   話はガラッと変わる。今さらだが、この国は災害大国である。先日も静岡県熱海市で山の上にあった盛り土が大雨で流れ出し、多くの人命が失われた。災害の中でも一番大きな被害をもたらすのは地震だが、首都直下型地震はいつ起きてもおかしくないといわれている。1855年に起きた安政江戸地震では8000人近くが亡くなっている。関東大震災の死者・行方不明者は11万人近いといわれるが、2年後の2023年でちょうど100年になる。

   首都直下型地震や南海大地震について、週刊新潮と週刊ポストが特集を組んでいる。新潮は、「来るべき震災に備え、自宅の下に広がる地盤を知っておくことは重要である」としている。これまで、東京23区は開発が進んでいて地層を直に見ることができなかったが、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」が「東京都心部の地質地盤図」という3次元マップを無料で公開したというのだ。

   ソフトをインストールすれば、自分の住んでいる地域の地質地盤が分かり、液状化現象が起きやすい場所か、被害の大小はどうかを知ることができるという。なかでも、東京の低地の地下に「埋没谷」という存在があり、詳しい説明は省くが、これがある地域は地震の揺れが大きくなる可能性があるそうだ。

   これまで、武蔵野台地の上にあって地盤がいいとされてきた高輪から恵比寿、代々木にかけて、世田谷の一部でも埋没谷が確認され、地震が起これば揺れやすいということが実証されたというのである。小岩、亀有、東向島、新木場を囲んだ辺りも埋没谷があるようだ。また、あわせて警戒したいのが、埋没谷が広がっていながら、地上に木造建築物が密集した「木造地域」は、家屋の倒壊などで火災発生のリスクが高まるという。

   東京では地価の高い場所が地盤のいいところという誤解があるが、駅へのアクセスや周囲の環境にだけ目をやるのではなく、これから住むところを探している人は、地質地盤も考慮したほうがいい。ポストによれば、首都直下型地震が起きれば、建物崩壊で死ぬ人は約6400人、地震の火災で亡くなる人は1万6000人といわれているそうだ。被害総額は95兆円にもなる。

   一刻も早く大地震に備えるための住宅道路整備を始めなくてはいけないのに、この国がそのために準備を開始したという話は聞こえてこない。地震予知研究も遅々として進まず、私を含めてだが、何とかなるという根拠のない楽観論が日本人にはある。そんなものが木っ端みじんに打ち砕かれる日がすぐそこに来ていることは間違いない。

   私は団塊世代ではないが、2度の結核のため、その世代と一緒に戦後を生きてきた。人数が多かったため、受験戦争や出世競争は激しかったが、大概の人間は穏やかに生きてきたのではないか。このまま死んでいけば、父母のような戦争も知らず、後の世代のような酷い格差や貧困を経験することもない珍しい世代ということになる。

   だが、人間個々が持っている運の総量が同じだとするのなら(私はそう思っている)、最後の最後で凶運に見舞われる可能性はあるのではないか。そんなしょうもないことを考えながら、毎晩、床に就いている。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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