あなたの住まいは大丈夫?東京の地下に「埋没谷」地質地盤図インストールしてすぐチェック
話はガラッと変わる。今さらだが、この国は災害大国である。先日も静岡県熱海市で山の上にあった盛り土が大雨で流れ出し、多くの人命が失われた。災害の中でも一番大きな被害をもたらすのは地震だが、首都直下型地震はいつ起きてもおかしくないといわれている。1855年に起きた安政江戸地震では8000人近くが亡くなっている。関東大震災の死者・行方不明者は11万人近いといわれるが、2年後の2023年でちょうど100年になる。
首都直下型地震や南海大地震について、週刊新潮と週刊ポストが特集を組んでいる。新潮は、「来るべき震災に備え、自宅の下に広がる地盤を知っておくことは重要である」としている。これまで、東京23区は開発が進んでいて地層を直に見ることができなかったが、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」が「東京都心部の地質地盤図」という3次元マップを無料で公開したというのだ。
ソフトをインストールすれば、自分の住んでいる地域の地質地盤が分かり、液状化現象が起きやすい場所か、被害の大小はどうかを知ることができるという。なかでも、東京の低地の地下に「埋没谷」という存在があり、詳しい説明は省くが、これがある地域は地震の揺れが大きくなる可能性があるそうだ。
これまで、武蔵野台地の上にあって地盤がいいとされてきた高輪から恵比寿、代々木にかけて、世田谷の一部でも埋没谷が確認され、地震が起これば揺れやすいということが実証されたというのである。小岩、亀有、東向島、新木場を囲んだ辺りも埋没谷があるようだ。また、あわせて警戒したいのが、埋没谷が広がっていながら、地上に木造建築物が密集した「木造地域」は、家屋の倒壊などで火災発生のリスクが高まるという。
東京では地価の高い場所が地盤のいいところという誤解があるが、駅へのアクセスや周囲の環境にだけ目をやるのではなく、これから住むところを探している人は、地質地盤も考慮したほうがいい。ポストによれば、首都直下型地震が起きれば、建物崩壊で死ぬ人は約6400人、地震の火災で亡くなる人は1万6000人といわれているそうだ。被害総額は95兆円にもなる。
一刻も早く大地震に備えるための住宅道路整備を始めなくてはいけないのに、この国がそのために準備を開始したという話は聞こえてこない。地震予知研究も遅々として進まず、私を含めてだが、何とかなるという根拠のない楽観論が日本人にはある。そんなものが木っ端みじんに打ち砕かれる日がすぐそこに来ていることは間違いない。
私は団塊世代ではないが、2度の結核のため、その世代と一緒に戦後を生きてきた。人数が多かったため、受験戦争や出世競争は激しかったが、大概の人間は穏やかに生きてきたのではないか。このまま死んでいけば、父母のような戦争も知らず、後の世代のような酷い格差や貧困を経験することもない珍しい世代ということになる。
だが、人間個々が持っている運の総量が同じだとするのなら(私はそう思っている)、最後の最後で凶運に見舞われる可能性はあるのではないか。そんなしょうもないことを考えながら、毎晩、床に就いている。(文中敬称略)