新型コロナウイルスへの感染が急拡大する中、自宅療養者は東京都内だけで1万2161人と、この1カ月で11倍に急増した。こうしたなかで菅首相は2日(2021年8月)、事実上重症患者に入院を制限する方針転換を明らかにした。3日の「あさチャン!」が伝えた。
「あさチャン!」に語った自宅療養の苦労
都内練馬区に住む50代女性は、夫(60代)と娘(20代)を含む家族4人がすべて陽性となったが、同居する80代の母が入院を拒んだため、母と2人で自宅療養した。「(母が)歩けないので、すべての動作で介助が必要。(自分が)38度とか熱がある中で、支えながら歩くとか、食事の支度をするとか、生活すべてがすごく大変だった」。
目黒区在住の30代の女性は、先週木曜日から保健所の連絡が途絶えた。「忘れられていないか、みたいな不安は、やっぱりありました。在宅療養ってどういうものか、まったく分からないまま、説明するから待っててね、と言われて数日たっちゃったので、現場がどうなっているのかも分からない。怒りたいけど責められない、すごく複雑な心境です」。
都内の50代の男性は先週、コロナ感染で呼吸困難に。体制不備などを理由に、約100の医療施設から受け入れを断られ、通報から約8時間後に、約50キロ離れた病院に収容された。
菅首相「症状が悪くなればすぐに入院できる態勢を整備」
こうした病床逼迫のなかで、菅首相は2日、「重症患者や重症化リスクの特に高い方には、確実に入院していただけるよう必要な病床を確保します。それ以外の方は、自宅での療養を基本とし、症状が悪くなればすぐに入院できる態勢を整備します」。「重症者以外は自宅療養」と事実上方針転換したのだ。
昨日都内で新たに確認された2195人のうち、1229人を検査したところ約900人がデルタ株に感染したとわかった。国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「7、8割がデルタ株になっているのでは。これまで以上に重症化しやすい。とくにワクチンを打っていない方は注意が必要だ」。神奈川県では2日、過去最大の1686人が感染。横浜労災病院では、コロナ対応の32床のベッドが半分埋まり、9人の陽性患者の受け入れを断った。
全国知事会は1日、「ロックダウンのようなより強い措置を検討する」とした国への緊急提言を出した。街の声も「緊急事態宣言はあんまり意味ない気がします」「ロックダウンくらいやらないと」(30代女性)。しかし、加藤勝信・官房長官は2日、「ロックダウンのような強制的な措置を、いわば都市を封鎖する。こういうことは日本ではできない」。
「デルタ・パンデミック」に政権は立ち往生。病床はますます遠のいていく。
(栄)