「これまでに経験したことのない感染拡大です。助かる命も助けられない状況になっています」――そう警告する厚生労働省アドバイザリーボードの脇田隆字座長の表情は、これまでになくこわばっていた。
きのう28日(2021年7月)の新型コロナウイルスの感染者数は、全国で9577人と1万人に迫り、東京都は3000人を超え、首都圏の1都3県、さらに茨城県も過去最多となった。専門家は「命を守る行動を」と、災害時の特別警戒のような対応を求めている。
「手遅れ」になる前に...
感染拡大に歯止めがかからなくなった原因は、新型コロナが『若者の感染症』に変貌したことだ。昭和大の相良博典病院長は「20代、30代でも入院しなければならない人が非常に増えています」と話し、実際、東京の感染者の7割が20代~40代である。この世代の多くはワクチンをまだ接種していない。
ところが、きのう夜、「モーニングショー」が東京・渋谷にいた18歳と19歳の女子学生に聞くと、「緊急事態宣言なんて、誰が守るねんって話ですよね」「な~んも思わない」と能天気なもので、5月の3回目に比べて、繁華街の人流の減り方は小さい。神奈川、埼玉、千葉、大阪は、政府に緊急事態宣言の発令を要請する方向だが、こんな現状ではほとんど効果はなさそうだ。
司会の羽鳥慎一は「この感染拡大を食い止める、なにか対策は考えられるのでしょうか」と、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授に聞く。「できるのであれば、ロックダウンや夜間外出禁止など、強制力を持った対応でしょうね。呼びかけて、個人個人に自粛してもらうということには、もう期待できなくなっています」
ヨーロッパ各国が実施したように、街を封鎖し、不許可の外出には高額の罰金を課すようなことを、東京もしなければならないのか。松本教授は「このままでは相当な数の感染者が出て、これはまずいとなった時は、すでに多くの人が苦しんでいて、もう手遅れ」と心配する。事ここに至っても、コロナよりオリンピック優先の菅首相や小池都知事からは、危機感は伝わってこない。
(カズキ)