「オリンピックは盛り上がっていますが、コロナの新規感染者数がすごい数字」と29日(2021年7月)、司会の谷原章介が驚きの声をあげた。東京都では3000人を、全国では9000人を、きのうは一気に上回ったのだ。オリンピック開催中の感染拡大に、コメンテーターの橋下徹(弁護士、元大阪府知事・市長)が「(オリンピックからの)撤退ライン」を示すべきだとの考えを打ち出した。
具体的な数字は「医療崩壊のところだろう」
東京都の新規感染確認者は1月7日の2520人を上回って3177人と過去最多。全国でも9579人。都の担当者は要因の一つとして4連休をあげ、小池百合子都知事は「若い方の行動パターンがカギを握る」と語った。
橋下氏はまず「政府などのメッセージが大混乱している」と指摘した。専門家による分科会が「ヤマ場」というのに、都幹部は「いたずらに不安をあおらないで」とし、「政治の方は何もしないで、とにかくオリンピックをつき進む」。そのうえで、橋下氏は「オリンピックを中止してほしくはないが、こういうときは撤退するよというラインを示す必要がある」と力説した。
というのも「過去の戦争でつき進んで敗戦、東日本大震災では想定外を置いてはいけないと学んだはずなのに、撤退ラインをきっちりさせて国家運営していくのが政治の役割だ」と、橋下氏は主張した。
谷原「具体的にはどの数字を基準に?」
橋下氏は「新規感染者だけでなく、医療崩壊のところだろう。医療現場がとてもじゃないがオリンピックをやる状況にないというラインを超えれば、オリンピックをやるべきじゃない」と言い切った。
菅義偉首相はいっこうに中止を検討する素振りもなく、五輪ムードを秋の総選挙につなげる魂胆と指摘する声もある。多くのコメンテーターよりも政治的影響力のある橋下氏までが撤退ライン設定に言及する状況を、政治の責任者はどうとらえるのか。メダルラッシュで浮かれてばかりいられないことは確かだろう。
(あっちゃん)