「新型コロナウイルス、デルタ株のまん延で、1日に5万人前後の感染者数が出ているイギリス。首都ロンドンがあるイングランドで、感染対策のための法的規制がほぼ撤廃されました」と司会の夏目三久。続いて藤森祥平アナが「感染が拡大していても、イギリスはワクチン接種の広がりを背景に規制を解除するという選択肢を選びました。歓迎の声が上がる一方で不安や批判の声も出ています」と20日(2021年7月)、伝えた。
ジョンソン首相は「今が規制撤廃のタイミングだ」
現地時間19日午前0時、イギリスのライブレストランのフロアは最高潮に。マスクなしで酒を飲み、踊っていた人々が歓声を上げた。ナイトクラブの営業、屋内のマスク着用の義務、劇場やスタジアムの収容人数の制限などの規制が解除されたからだ。
濃厚接触者になり、自主隔離中のジョンソン首相。それでも「今が規制撤廃のタイミングだ」と言い切る。
なぜこのタイミングなのか。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は「これまでよりも重症者の割合、入院患者数の割合が減ってきている。緩和の目安を感染者数というより、そういう項目にシフトしてきたということでは」と話す。
イギリス在住の日本人の間には、期待と不安の両方が広がっているようだ。
「変異型に対する注意」促す声も
ファッション店への卸業をしている高嶋一行さんは、「不安はあるが、僕自身ももう2回ワクチンを打っていますし、ある程度抑えられるのでは。展示会をして、実際に服を見て買い付けをしていただかないと伝わりづらい。(仕事面でも)コロナ以前に戻るのではないかと期待している」と話す。
医療体制はどうなのか?ロンドンの英・エプソム・セントヘリエNHS病院に副部長として勤務する米澤ルミ子さんは「ロンドン市内ではまだ余裕があるのですが、緊張感は高まっています。多分、先週のスポーツイベント云々の影響があと1週間くらいで出てくるので、そのデータをモニタリングしながら、検討していくんだと思います」と話す。
米澤さんは、予想できないリスクについても話す。「変異型ですね。モデリングの根本が覆されてしまうので。変異型に対する注意というのは特にしておかなければなりません」
イギリスのこの試みに対しては批判もある。イギリス、ドイツ、オーストラリア、スウェーデンの学者ら120人は、連名で英医学誌「ランセット」に寄稿。「イギリス政府は危険かつ非倫理的な実験を実施しようとしている」と訴え、「若者に対するワクチン接種が終わるまでは、今回のような規制撤廃は先延ばしするべきだ」と強調している。
(ピノコ)